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J屈指の“戦術オタクなドリブラー”田中達也「感謝しかない」 熊本、大分時代の恩師から得た“サッカーIQ”
posted2021/01/29 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Getty Images
――徳島ヴォルティスの試合をかなりチェックしていたそうですが、大分トリニータ時代にポジショナルプレーの理解を深めた田中選手にとって「なるほど」とか、「分かる、分かる」という場面がかなりあったんじゃないですか?
「めちゃめちゃありましたね。『うわ、おもしろっ』というような場面が。例えば、2-1で入るのか、2-2で入るのか、3-1で入るのか(※数字の並びはビルドアップに関わるDFと中盤の枚数)。2-1で入る場合は、ボランチの岩尾(憲)選手がアンカーの位置でどっしり構えている。相手の2トップがセンターバックにプレッシャーを掛けてきたら、(もうひとりのボランチの)小西(雄大)選手がその脇でフリーになったり。岩尾選手が落ちて3-1にするなら、小西選手がアンカーの位置に入ったり。あと、シャドーが斜めに下りたとき、相手がマークに来なければ、そのまま幅を取って高い位置に行き、ウイングバックがインサイドに入ってボランチが下りるといったローテーションもめちゃめちゃスムーズで、見ていて面白かったです」
――楽しそうに話しますね(笑)。
「徳島のサッカー、大好きだったんで(笑)。動的なポジショナルプレーの感じが強いなと。試合の入り方もカチッとしてなくて、試合中にも2-1、3-1、2-2とか臨機応変に変えていた。相手の出方を見て、変えているんだろうなって。そもそも相手がアドリブで急に来ても、自在に対応しているように感じたんです。プレッシャーの回避ルートを、みんながしっかり理解しているんだと思います」
メカニズムを「想像するのも楽しい」
――「3」の作り方も、岩尾選手がディフェンスラインに落ちるときもあれば、サイドバックが横ズレして逆サイドのサイドバックを上げて「3」を作るときもありますよね。
「(右サイドバックの)岸本(武流)選手の片方上げですよね。ああいう仕組みは、相手も気付くのに時間が掛かるし、対応するのが難しいと思うんです。右サイドの岸本選手は幅を取る役割がメインで、左サイドは人数を多めに掛けているのかなとか、トップ下の渡井(理己)選手はフリーマンで、常にプラス1で浮くため、前を向いてプレーするために、いろいろなポジションを取り続けているのかなとか。想像するのも楽しい」