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「彼には驚かされた」ベッケンバウアーが明かす、全盛期の自分を思い出した“大好きな現役選手”とは?
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byL’Équipe
posted2021/01/31 17:03
1974年7月7日、セップ・マイヤー(右の青)の横でワールドカップを掲げるベッケンバウアー
ベッケンバウアー カフーやパオロ・マルディーニ、カルロス・アウベルトらとともに、ファンダイクも引退する際にはこの系譜に連なるだろう。私はマティアス・ザマーのプレーも好きだった。EURO96ではリベロとして卓越したインターセプト能力を発揮した。彼がいたからこそ、リベロというポストが私の引退後も10年以上も存在し続けることができた。あとは時代に関係なく選べば、ロナルド・クーマンとフランコ・バレージ、ボビー・ムーアの名前もあげたい。
リベロを務めた選手は、有能な監督にもなれる?
――あなたが人々の記憶に強く残っているのはどうしてだと思いますか?
ベッケンバウアー ボールを持ったときのエレガンスやリベロとしてのプレーを読む能力についてよく言われるが、とりわけサッカーのディフェンスにおいて革命的な変革をもたらしたからだと私自身は思っている。
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――若者たちにインスピレーションを与えたのでしょうか?
ベッケンバウアー それは彼らが答えるべきことだが、そうであったと願っている。2020年の今、サッカーを始めようとする若者がフランツ・ベッケンバウアーを知っているかどうかわからないが、少なくとも私がスパイクを脱いだときには、リベロを採用していたクラブや代表チームをはじめ多くの若者たちに影響を与えることができたと思う。
――長年にわたりリベロを務めた選手は、有能な監督にもなれるのでしょうか?
ベッケンバウアー その点では確信がある。最後尾からプレーを構築しながらディフェンスを統率し、常にコミュニケーションを保ち続けるためには熟練の技能と観察力、予測する力が必要だ。そしてそれこそが、監督が最高レベルに到達するために持たねばならない能力でもある。
サッカー界に思う“違和感”「今日の選手たちは…」
――今日でも可能であればプロとしてプレーしたいですか?
ベッケンバウアー もちろんだ。子供のころはもちろん、2020年の今もサッカーは私の情熱だ。冷めることなどありえない。今日の選手たちがSNSに熱中し、メディアに取り巻かれ高額の給料を得ていることには違和感を覚えるが、ピッチの素晴らしさには羨望しか感じない。
芝生はまるでビリヤードのクロスのようで、私もあんなピッチでプレーしたかった。私の時代のピッチはあちこちに穴が開き、土の塊がそこらじゅうにあってボールがうまく転がらないことがよくあった。2020年の今はピッチも暖房完備だから冬の中断さえ必要ない。モダンで美しいスタジアムが、ドイツだけでなくヨーロッパのどこにもある。素晴らしいと思うよ。
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