岡林からそう簡単に点は取れない…西武・森の苦悩

　ヤクルト・岡林は中3日、対する西武・石井は中4日。総力戦で迎えた第7戦は、両軍ともに頼れる右腕にチームの命運が託された。

　先攻の西武も、後攻のヤクルトも、ともに第6戦とはオーダーを変えてきていた。

　西武・森祗晶監督は、前日の第6戦でまずい守備を見せたデストラーデをレフトからファーストヘ変更し、それに伴って清原をサードに、石毛をショートに起用していた。さらに、それまではすべて代打出場だった安部理を初めてスタメン起用している。

【西武ライオンズ】（先攻）
（二）辻発彦
（右）大塚光二
（中）秋山幸二
（三）清原和博
（一）オレステス・デストラーデ
（遊）石毛宏典
（左）安部理
（捕）伊東勤
（投）石井丈裕

　相手は岡林だ。そう簡単に点は取れないだろう。確実に一点勝負になる。ならば、守備のミスは絶対に避けねばならない。その一方では攻撃型のオーダーも組まねばならない。森の苦悩が透けて見えるようなスターティングオーダーだった。

両軍ファンの期待感が神宮球場に満ちあふれている

【ヤクルトスワローズ】（後攻）
（中）飯田哲也
（左）荒井幸雄
（捕）古田敦也
（一）広沢克己
（三）ジャック・ハウエル
（遊）池山隆寛
（右）秦真司
（二）ジョニー・パリデス
（投）岡林洋一

　ヤクルト・野村監督は、第5戦から出場してラッキーボーイとなっていた橋上秀樹をベンチスタートとし、前日のヒーロー、秦をライトでスタメン出場させた。

　開場と同時に詰めかけた熱心なファンが試合開始を待ちわびている。両軍ファンの期待感が神宮球場に満ちあふれている。

　ドリマトーン奏者・森下弥生の高揚が、そのまま音色となって場内に響き渡る。

　一塁側ブルペンでは岡林が、三塁側ブルペンでは石井が、黙々と投げ続けている。

　センターからホームベースにかけて時折、強い風が吹いている。

　抜けるように澄み渡った青空が神宮球場の上空に広がっている。

　12時33分、ついに最終決戦が始まった――。

【後編】飯田哲也の世紀の落球のウラで、森祇晶と野村克也が抱いた“共通の思い”　「石井に代打を送ってくれ…」　へ