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「不器用なんですよね」と言いつつも…巨人・丸佳浩、“リーグ6連覇”へ「全ての数字」で目指す高い目標とは
posted2021/01/22 11:03
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Nanae Suzuki
「僕は不器用なんですよね、ほんとに……」
キャンプイン前の2021年1月、巨人・丸佳浩選手(以下、敬称略)とオンライントークイベントでご一緒させていただいた。そこで13年間のプロ生活を振り返った丸は、少しハニカミながら自分のことを“不器用”と表現していた。
「(坂本)勇人さんらは素晴らしい。イメージしたら、それがスッとインプットされているように見える。僕はイメージしてすぐに身体がその通りに動くタイプじゃないですよ。カープ時代から緒方(考市)さんに『お前は不器用だ』といつも言われていました。けれど『丸のような不器用な選手は一度、技術を習得したら身体から抜けない分、それを維持するのは得意だ』とも言われました。それを信じてここまで来ましたから」
個人では「セ・リーグ5連覇」
広島東洋カープで3度、読売ジャイアンツで2度のリーグ優勝。丸個人の成績を見ると、16年から20年までセ・リーグで5連覇を達成していることになる。プロ13年間のうち、実に1/3以上が「リーグ優勝」という、まさに平成・令和の優勝請負人だ。
さらに、その5年間ではすベてベストナイン、ゴールデングラブ賞に選出。シーズン全試合出場は5年間で4度。最多安打は1回、最高出塁率も1回と個人タイトルも獲得している。
「転機は15年のシーズン終わりから16年ですかね。14年、15年は本塁打19本。14年は打率3割を超えましたが15年は3割に到底及ばなかった。自分がこれまで打つことができなかったコースに対応し、本塁打20本を超えるにはどうしたらいいか……(そう悩んだときに)勝負に出ようと打撃フォーム改造に着手しました。
一気に変えるのはある種、賭け。でも何としても習得してやろうと球場の外野フェンス沿いを、バットを振りながら何往復もしました。身体の前で8の字を描きながら、バットのグリップをダウンさせて鞭のようにバットを振る動作を繰り返しているうちに良い感覚を覚えました。これはいけるかも知れないと」
16年の1月、マツダスタジアムの室内練習場で打撃マシン相手に打ち込む丸の打撃フォームは別人のように変化していた。グリップ位置が大きく変化させ、右足を高く上げてタイミングをとる姿は、これまでのフォームから“180度”変わったと表現しても言い過ぎではないように思えた。