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「私はオリンピックのためにレスリングをやっている」 57kg級世界女王・川井梨紗子の苦しい胸中
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySachiko Hotaka
posted2021/01/20 17:01
川井梨紗子は「オリンピックのためにレスリングをやっている」と語り、今夏を見つめている
合宿の門限が8時になって「コンビニはサッと…」
年末年始は代表になってから初めて地元石川県の実家で過ごした。通常オリンピックイヤーとなれば年越し合宿が開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で今回は延期となってしまった。
「去年も年末年始に合宿することで、いよいよだなって気持ちになりました。今回は家族との会話でそういう感じになった」
しかしながら昨年末からコロナの感染者数は増えるばかり。代表合宿の拠点となる味の素ナショナルトレーニングセンターは以前にも増してコロナ対策に腐心していると感じている。
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「昨年コロナが流行り始めてからは食堂の中でもいろいろ決まり事ができた。大浴場も入場制限が敷かれるようになったけど、今回大浴場は完全に閉鎖されています。マスクなしで人と関わる場面をなくすためにそうしたと聞きました」
今年になってから東京に2度目の緊急事態宣言が発令されるや、都内の飲食店は午後8時の閉店を要請されている。それにならったのだろうか、去年まで合宿の門限は9時だったが、8時に繰り上がったという。川井は「練習が終わったらお風呂に入りご飯を食べる。門限を考えたらコンビニにはそのあとサッと行くしかない」と苦笑いを浮かべた。
「でも、練習に集中するという意味では、それもいいかなと思いますね。もともと合宿中に外食しようとする女子はほとんどいなかったので、そんなに不便を感じることはない」
「至学館での練習を新鮮なものにするために」
練習の拠点はずっと至学館大ながら、3年ほど前から62kg級代表に内定している実妹の友香子とともに東京まで出稽古に足を運ぶ。
「自衛隊か日本大学のどちらかに行かせてもらっています。コーチも選手も揃っている自衛隊では、古市雅子選手(昨年72kg級で全日本選手権優勝)とよくスパーリングをさせてもらっています。男子では湯元進一コーチ(ロンドン五輪銅メダリスト)や中量級の選手ともやらせてもらっています」
コロナ禍で自由に動けなくなる以前は1カ月のうち2週間は至学館、2週間は東京というスケジュールを立てて調整に励んだ。
東京に来るようになった理由は?
「私の場合、高1からずっと至学館で練習している。そこに慣れすぎたというのもあったので、至学館での練習を新鮮なものにするために東京に行かせてもらっている感じです」