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「前略シバターさま 心よりお詫び申し上げます」RIZINカメラマンがYouTuberに衝撃を受けたワケ
posted2021/01/18 11:02
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
昨年大晦日のRIZINではHIROYAとYouTuberであるシバターの異色の試合が注目を集めた。長年にわたり格闘技を撮影してきたカメラマンの長尾迪氏が、強い感銘を受けたというこの試合をあらためて振り返る。
賛否両論が入り混じったシバターのRIZIN参戦と試合結果を、皆さんはどう思っただろうか。
私は20年以上もリングサイドで大晦日の試合を撮影しているが、昨年は特別だった。
YouTuberがプロ選手に完勝(一本勝ち)したのだから。試合前から勝敗を度外視した色物の扱い。そう思っていたのに。
シバターの入場シーンとボコボコに殴られる写真を
格闘技団体のオフィシャルカメラマンである私は、撮れ高の高い写真を撮るのが仕事。予め試合内容と勝者を予想して撮影をする。そうすることで、無駄な写真も少なく集中して撮影に臨めるからだ。特にビッグイベントは出場選手も多く、メインの試合までが長いからこの予想が大事になる。
シバターは3試合目だった。この試合は、1ラウンドはキックルール、2ラウンドはMMAルール(総合)と変則的なもの。私は1ラウンドのキックルールで、HIROYAがシバターを打撃でKOすると予想した。撮れ高はシバターの入場シーンと、ボコボコに殴られる写真だろう。
さいたまスーパーアリーナに作られた長い花道。シバターは売れっ子YouTuberを従え、ノリノリでゆっくりと登場した。派手な入場なので撮れ高は十分。あとはHIROYAのKOシーンを撮るだけだ。彼は中学生の時からK-1で試合を行い、その才能から「魔裟斗II世」とも呼ばれた現役のキックボクサーだ。実力は折り紙付きで、15キロの体重差はあるものの負けることはまずないだろうと思われていた。