フランス・フットボール通信BACK NUMBER
空港に閉じ込められ...対戦相手から「昨夜はよく眠れたのか?」 ある代表チームを襲った“衝撃の事件”とは?
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byFacebook Fédération Gabonaise de Football
posted2021/01/24 06:00
ガボン代表団はバンジュール空港の地面で一夜を過ごすことになった
彼らがテストを拒否したのは、11月5日にガンビアの高等弁務官が発行した公文書に依拠していたからで、そこにはガンビア入国に際して「遅くとも到着の72時間前におこなわれたPCR検査で陰性であったこと」が証明できれば入国できると記されていた。
彼らの到着の3時間前、ガボンのスポーツ大臣を務めるフランク・ヌグエマが、料理人とともに通常便でガンビアに到着した。厳しい身体検査の後に彼は、「外交官のパスポートを持ち、公用で訪れたにもかかわらず」(ヌグエマ)、24時間前におこなわれたことが記されたテスト結果を提示してようやく空港から脱出できたのだった。
ホテルに到着してからも、ヌグエマのパニック状態はしばらく収まらなかった。
チームからは何の連絡もない。時間が容赦なく過ぎるばかりで、監督も選手もいつまでたってもホテルに現れない。
朝の4時半になってガボン協会のテレビ局が、レ・パンテール(ガボン代表の愛称。豹の意)の旅程を公表し、それは瞬く間に全世界に伝えられた。ときを同じくしてオーバメヤンは、直面する状況に「不屈の精神」で立ち向かう決意を添えた数枚の写真を自らのSNSに投稿したが、深刻な声は疲労感に溢れていた。パトリス・ヌブーは次のように語っている。
「検査はガボンで済ませた。だからここでもう一度やることは容認できなかった」
ガンビアのガボン駐在大使ですら空港当局と衛生局の意向を変えることはできなかった。ガボン協会広報部長のパブロ・ムソジは次のように説明する。
「ピエール・アラン・ムンゲンギ会長の2度にわたるガンビア協会会長への電話も状況改善には至らず、国際スポーツのモラルコードに基づき調査しようという気も(ガンビア側には)まったくなかった」
過去に「ホテルで3日間断水された」チームも
かつてメスでプレーし、今もレ・パンテールの守護神を務めるアントニー・ムファ・メズイは、チームが受けた仕打ちに特に驚きはないと言う。しばらく前に友人から警告を受けていた彼は、すでに2018年にアルジェリアとベナンが同様の事態に直面したことを知っていたのだった。