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【春高バレー】驚き! 身長210センチ牧大晃の柔らかい動き “宝”を預かる若手監督の近道しない指導とは? 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/01/14 06:00

【春高バレー】驚き! 身長210センチ牧大晃の柔らかい動き “宝”を預かる若手監督の近道しない指導とは?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

準々決勝で優勝した東福岡に敗れたが、別格の存在感を発揮した高松工芸の牧大晃。まだ2年生だ

 一方で「海外の選手の中で目標とするのは?」と聞かれると、「ムセルスキー選手」と答えた。

 身長218cmのドミトリー・ムセルスキーは、2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得したロシア代表選手で、現在はサントリーサンバーズに所属する、Vリーグ史上最長身の選手だ。代表では主にミドルブロッカーだが、サントリーではオポジットとして得点を量産している。

「動きとかがコンパクトで、マネしたいと思った」と牧は言う。

 確かにムセルスキーは、速いとまでは言えないが動きにムダがなく、ボールコントロールも巧みで器用な選手。大きな体をかがめて丁寧にチャンスボールを返すなど、基本的なプレーも疎かにしない。

 異次元の高さから降ってくるようなムセルスキーのスパイクやジャンプサーブに、見る者も、ともにプレーする選手も、思わず「すごい」とため息を漏らすが、体格が日本人選手と違いすぎるため「マネしよう」という対象ではなかった。しかし210㎝の牧にとっては、最高のお手本のようだ。

女子に混ざって始めたバレーボール

 牧がバレーボールに出会ったのは中学1年の夏だった。

 小学校では1年から6年までサッカーをしていて、ポジションはセンターバック。ただ、体をぶつけ合う激しさが好きではなく、中学では続けなかった。

 中学1年の時点で身長が180cm台後半だったため、両親にバレーを勧められた。通っていた中学には男子バレー部がなかったが、女子バレー部の顧問に誘われ、女子に混ざってバレーを始めたというから、漫画『ハイキュー!!』の主人公・日向翔陽の中学時代と少し重なる。男子が集まるクラブチームの練習にも参加し、バレーの楽しさに目覚めていった。

「サッカーの時は個人技の部分が多かったんですけど、バレーはチーム全員で点を取らなきゃいけないので、それが楽しくて、続けられていると思います」

 牧を誘った女子バレー部の顧問は、高松工芸・淵崎監督の中学時代の恩師でもあった。牧がバレーを始めたばかりの頃、その恩師から「おっきい子がいる」と聞いて淵崎監督が見にいったのが、2人の縁の始まりだった。

【次ページ】 若手監督が語るブレないビジョン

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