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【波乱の箱根駅伝】4区で逆転1位の創価大・嶋津雄大「目の病気で、70m廊下を往復してた高校時代」
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byTakeshi Nishimoto
posted2021/01/02 15:00
第97回箱根駅伝で4区を走り、トップになりチームの往路初優勝に貢献した創価大・嶋津雄大(3年)
家族以外で出会った同じ病気の仲間。
「同じ病気を持っている子が来るから体制は整っている。1人でも2人でも変わらないから来ないかって大学に言われたんです。それで見学をさせてもらったら、競技場のライトはLEDで、夜間でもすぐに照明がつくし、陸上部専用のトラックがあるからぶつかる心配もない。
体育館には200m走れるコースもあるし、サッカーグラウンドには芝もあるし、寮にはトレッドミルもある。学校の周りは起伏があって、ロードで坂道練習もできる。今までは70mの廊下でしたから、雲泥の差です(笑)。
僕、家族以外で、同じ病気を持っている人に初めて会ったんです。今までずっと1人で廊下を走っていたのが、2人で毎朝話しながら走っている、それだけで楽しくて、自然とペースが上がっているんですよね。境遇もすごく似ていて、永井は一番気の合うチームメイトですね」
「今年もこの勢いのまま行きたい」
昨年、創価大学は陸上競技部監督に榎木和貴監督が就任。月間走行距離やタイムの設定、スマートウォッチの導入など、様々な改革が行われた。
「故障者もだんだん出なくなってきて、自分がホクレンディスタンスで14分3秒を出したり、米満先輩が八王子ロングディスタンスで28分30秒を出したりと、ベストタイムのオンパレードで。その勢いで箱根に臨めたのが、シード権獲得につながったと思っています。今年もこの勢いのまま行きたいと思っています」
ブレイクした嶋津と、勢いに乗る創価大。コロナ騒動を克服した先にある箱根路では、新たなドラマが生まれそうだ。