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【箱根駅伝スターの葛藤】大迫傑「僕が行かなかったら…」 柏原竜二「短い駅伝なら走れたかもしれないけど」

posted2021/01/02 06:05

 
【箱根駅伝スターの葛藤】大迫傑「僕が行かなかったら…」 柏原竜二「短い駅伝なら走れたかもしれないけど」<Number Web> photograph by Asami Enomoto(2)/Yuki Suenaga

大迫傑、柏原竜二、吉田祐也。箱根が生んだスターはそれぞれの葛藤を胸に走った

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NumberWeb編集部

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Asami Enomoto(2)/Yuki Suenaga

雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回は箱根駅伝のスター、大迫傑、吉田祐也、柏原竜二の3人の言葉です。

<名言1>
僕が行かなかったら、けん制し合って誰も行かなかったと思う。せっかく練習してきたのに、それはちょっともったいないな、と。
(大迫傑/Number845号 2014年1月16日発売)

◇解説◇
 2014年の箱根駅伝、大迫にとって「W」のエンブレムを着用して箱根路に挑む、ラストランだった。その前年の夏にはモスクワで開催された世界陸上にも出場するなど、すでに学生最速ランナーとしての評価を確立していた大迫は、1年、2年時と2年連続で1区で区間賞を獲得。集団走でけん制し合う展開となりがちな中でも、果敢に攻めていく走りが注目を集めていた。 

 この大会の焦点は、駒澤大学が大学駅伝三冠を成し遂げるか否かだった。出雲、全日本といずれも駒大の1区・中村匠吾がトップで襷を継ぎ優勝の流れを作っていた。

「駒澤の三冠を阻止するためには、そういうオーダーを組まざるをえなかった」と渡辺康幸監督は語っており、1区・大迫で出鼻をくじこうとの狙いを持っていた。

 しかしこの年の1区は例年になくエース級がそろっていた。スタートから大迫は先頭に立ち、最初の3kmは区間新ペースで快調に飛ばした。しかし10km過ぎ、思わぬライバルが現れた。青学大の一色恭志だ。一色がスパートをかけると、にわかにリズムが乱れた。

「1、2年生のときのいいイメージがあったので、そのイメージで行こうと思ったんですけど。今回は体がきつくなるのが早かった。現状で出せる力は全部出せました。あれ以上出せと言われても無理だったと思います」(大迫)

 あの大迫が、まさかの区間5位――。

 早稲田は勢いに乗り切れず4位に終わり、大迫はラストイヤーで総合優勝を成し遂げることはできなかった。

 しかしその後順調に成長した大迫は、2020年の東京マラソンで2時間5分29秒の日本新記録を樹立するなど、世界に伍するトップランナーへと駆け上がったのは、まぎれもない事実だ。

 同じく早稲田のOBで、瀬古利彦も“箱根後の大迫”についてこう評していた。

「大迫には、マラソン界の『桐生(祥秀)君』になって欲しいと思ってます。桐生君が9秒台を出したことによって、何人もの選手たちが9秒台を目指しているわけで、そのおかげで短距離界全体がドッカーンと盛り上がってるわけでしょ。マラソンも、大迫を目標に全員が高い目標を持って挑戦してくれると期待してます」

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