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巨人・原監督が坂本勇人に「ひとムチ入れなきゃ」 打倒ソフトバンクへ主将に求められることとは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/01/01 17:05
2020年日本シリーズ第3戦、試合前の坂本勇人。セ・リーグ3連覇、打倒ソフトバンクへ主将にかかる期待は大きい
原監督「ここからひとムチ入れなきゃいけない」
「ここからひとムチ入れなきゃいけないときですね」
元旦に放送されたラジオ日本の番組で徳光和夫さんと対談した原監督の発言だ。今季の打線の構想を聞かれた原監督。そこでいきなり坂本と今年で32歳となる丸佳浩外野手の“カルビコンビ”に、30代前半での更なる飛躍を求めたのだった。
「だいたい若いときに作り上げてきた体力、あるいは技術というもので、そのくらいまでスーッといくんですよ」
今度は原監督の30代前半論である。
「勇人、丸は早めに(トッププレーヤーに)きていますから。そういう意味では、新たにもう1回、ネジを巻き直す。そういうものはなければいけない年齢だなと思いますよ」
もちろん30代になって飛躍的に肉体が進化するケースは稀である。技術的に大きく変化することもなかなかないだろう。
だから監督の語る「ネジを巻き直す」というのは、気持ちの問題なのである。
もう一度、がむしゃらに野球に向き合ってみなさい。そうすればそこから30代前半の、まさに脂が乗り切った時ならではの新しい野球観が生まれるかもしれない。
30代でも成長できるし、そうなればこれまでとはまた違う坂本勇人への扉を開くこともできるかもしれない。
それが監督からのメッセージである。
坂本や丸というコアの選手たちが変わらないと……
もちろん原監督のこの言葉の背景にあるのは、あの屈辱の日本シリーズの結果である。
坂本だけではない。巨人というチームの何かが変わらなければソフトバンクの巨大な壁を突き破ることはできない。そのことを嫌というほど痛感させられた。そしてチーム全体が変わっていくために必要なのは、坂本や丸というコアの選手たちが、“打倒ソフトバンク”のために、もう一度、ムチを入れ直す姿だということだ。
だからこそ2021年のシーズンも坂本はキャプテンを続ける。そしてチーム変革のキーマンは、やはりそのキャプテンなのだ。