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クロノジェネシス、有馬記念を“力でねじ伏せて”勝利 三冠馬2頭との初対決でも主役に?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2020/12/28 11:40
直線ではフィエールマンと激しく叩き合ったクロノジェネシス。安定したレベルの高さを来年も発揮するか
「奇跡のラストラン」オグリキャップを彷彿させる
動いたクロノジェネシスをキセキが追いかけて行った。が、さらに2馬身ほど後ろにいた松山弘平のサラキアは、ここではあえて動かず、脚を溜めた。
クロノジェネシスは余裕のある手応えのまま3、4コーナーを回り、ラスト600mで前を2馬身ほどの射程にとらえた。有馬記念の勝負どころで外から楽に前に並びかける芦毛の姿は、1990年に「奇跡のラストラン」で日本中を感動させたオグリキャップを彷彿させるようでもあった。
クロノジェネシスは、内のカレンブーケドールと併せるような形で直線に向いた。
直線入口で、フィエールマンがバビットをかわして先頭に立った。その外にカレンブーケドール、さらに外にクロノジェネシスがいて、雁行状になっている。
フィエールマンとクロノジェネシスが抜け出した。2頭は馬体を離して叩き合う。
ラスト200m地点でクロノジェネシスがフィエールマンに並びかけ、突き抜けるかに見えたが、フィエールマンも簡単には抜かせない。
大外から、エネルギーを溜めていたサラキアが凄まじい脚で追い上げてきた。
クロノジェネシスが内のフィエールマンを競り落とした。さらに、外から襲いかかってきたサラキアを押さえ込み、先頭でゴールを駆け抜けた。
早めに動いて前をつかまえ、後ろの追い上げを封じ込む
勝ちタイムは2分35秒0。史上最多のファン投票21万4742票の期待に応え、昨年の秋華賞、今年の宝塚記念につづくGI3勝目をマークした。
首差の2着はサラキア、さらに首差遅れた3着はフィエールマン、4着はラッキーライラック、5着は同着でワールドプレミアとカレンブーケドールだった。
良発表とはいえ、荒れたところの目立つ、力のいる馬場状態だった。そうしたタフなコンディションのなか、クロノジェネシスは早めに動いて前をつかまえに行き、なおかつ後ろからの追い上げを封じ込む横綱相撲で頂点に立った。6馬身差で勝った宝塚記念ほどの派手さはなかったものの、ライバルたちを力でねじ伏せる凄味は、今回のほうが上だったのではないか。