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クロノジェネシス、有馬記念を“力でねじ伏せて”勝利 三冠馬2頭との初対決でも主役に?
posted2020/12/28 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
強い牝馬たちが、これほど力を見せつけた時代がかつてあっただろうか。コロナ禍のなかつづけられた2020年の中央競馬を締めくくったのは、芦毛の女傑だった。
第65回有馬記念(12月27日、中山芝2500m、3歳以上GI)で、北村友一が騎乗する1番人気のクロノジェネシス(牝4歳、父バゴ、栗東・斉藤崇史厩舎)が優勝。昨年のリスグラシューに次ぐ、牝馬として史上2頭目の春秋グランプリ制覇をなし遂げた。首差の2着となったのも牝馬のサラキア。今年の牝牡混合GIで牝馬が勝ったのはこれが9度目、うち牝馬によるワンツーフィニッシュは4度目となった。
ゴールまで800m以上、動き始めたクロノジェネシス
3コーナー手前から、有力馬による激しい攻防が繰り広げられた。
単騎で逃げたバビットに、オーソリティ、ブラストワンピースがつづく。直後にフィエールマンがいて、少し後ろの中団馬群の内にワールドプレミア、外にはカレンブーケドール、ラッキーライラックらが、いい手応えでつけている。
その後ろに、北村のクロノジェネシスがいた。先頭からは6馬身ほど。
「いつもどおりの自然体を心がけていました。折り合いもスムーズでしたし、いつものクロノジェネシスの感じで走ることができていました」
そう話した北村は、クロノジェネシスを軽く促し、外からスルスルとポジションを上げて行った。まだゴールまで800m以上ある。動くのが早すぎるようにも思われたが、北村に迷いはなかった。
「昨日、今日と中山の2500mのレースに騎乗させていただいて、自分のなかでいいイメージを描いて競馬をしたつもりです」
もし負ければ、これを敗因とされかねない早仕掛けだが、デビューからずっと騎乗してきたクロノジェネシスの能力に対する絶大な信頼が、自信満々の騎乗につながったのだろう。