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中村憲剛「敵を圧倒して勝ちたい」これからも受け継がれる14番の精神…“憲剛化”したフロンターレ
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2020/12/26 17:04
サポーターにとって忘れられない2016シーズン。悔しさを噛み締めながら中村憲剛が語ったことが、今のフロンターレにしっかりと根付いている
テクニックと判断力は消耗しない
今季の中村は、ケガからの復活を果たしたものの、長い時間ピッチに立つことはできなかった。だが、川崎が記録的な圧勝を続けたのは、中村の価値観を共有する仲間たちがそろっていたからだ。
川崎は圧倒的にボールを支配し、敵陣で攻め続ける。必然的に引いた敵を崩すという難題に直面するが、“解決策を持つ個の集団”は次々とゴールを陥れた。体力と違って、テクニックと判断力は消耗しない。彼らは記録的な強さで超過密日程を独走した。
川崎でプレーする醍醐味を、中村はこう語った。
「自分にボールが集まって、周りが動いてくれて、しっちゃかめっちゃかになって削りにくる敵をいなして、敵の急所をえぐる。それをやらせてもらっているんだから、超楽しいですよ」
来季、等々力のピッチに華奢で猫背の背番号14はいない。長年のサポーターには、想像したくない光景だろう。
だが、憲剛はそこにいる。彼が大切にしてきた精神は、川崎フロンターレに脈々と受け継がれていくのだ。