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ユーべ10連覇を目指すピルロ監督 戦友ガットゥーゾ、インザーギは“苦労知らずの天才包囲網”結成
 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/12/27 17:01

ユーべ10連覇を目指すピルロ監督 戦友ガットゥーゾ、インザーギは“苦労知らずの天才包囲網”結成<Number Web> photograph by Getty Images

ピッチの司令官だったピルロ。ユーべを10連覇に導き、名将への階段を登れるか

「指導者最初のベンチがユーベとは、“そいつはさぞ(楽で)よかったな”ってやつだ。だが、監督っていうのは日夜勉強して、汗水たらして、それでも結果が出るか不安で眠ることもままならない。どんな問題も自分一人で解決するしかない、辛い仕事だってことは覚えておくんだな」

 監督1年目の若輩ピルロが相手にしているのは、羨望と嫉妬に満ち、プライドに懸けて絶対に負けられないと息巻く19人の手練たちなのだ。

アンチェロッティは37歳で監督デビュー

 ピルロは41歳で栄えあるセリエA監督としてデビューしたが、彼より若くデビューした人間は意外にも相当数にのぼる。

 勝ち点3の制度が導入された1994年以降に限っても30人は下らない。なかにはカルロ・アンチェロッティ(37歳89日=パルマ/現エバートン)やロベルト・マンチーニ(36歳104日=フィオレンティーナ/現イタリア代表)のような名将もいるが、彼らは例外なく苦労を重ねている。

 セリエA監督デビュー最年少記録は、1998年12月に32歳193日の若さでサンプドリア指揮官に就いた英国人デビッド・プラットだ。しかし、夏にアーセナルで引退したばかりの元MFは就任後6試合で白星を1つもあげられず、あっという間に解任された。

 2004-05シーズンの終盤に史上2位の若さ(35歳228日)でキエーボ監督の座に就いたマウリツィオ・ダンジェロは紆余曲折を経て、4年前に3部ベネツィアの監督に就任したフィリッポ・インザーギ(今季はベネベント監督)の腹心となった。以来、表舞台に立つことなく今季はベネベントの副監督を務めている。

イランで散々な目に遭った元インテル監督も

 2012年春に史上4番目に若い36歳83日でインテルの監督になったアンドレア・ストラマッチョーニは、昨季エステグラルFC(イラン)で散々な目に遭った。米国の経済制裁の影響で給与は未払い、クラブ側の怠慢のせいで労働ビザ未発給の身となり、現地警察から拘束されるなどトラブルの連続。たまらず辞任したストラマッチョーニは契約から半年後、ほうほうの体でようやくイタリアへ帰国した。

 あるいは8年前に36歳25日でペスカーラ監督になったクリスチャン・ブッキのように、現在、職にあぶれた指導者は国中に溢れている。

 それでも、そうした艱難辛苦を武勇伝として語るぐらいの気概がなければ、指導者大国イタリアで監督として独り立ちすることはかなわない。

【次ページ】 ピッポも今や“ピルロ包囲網”の1人

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