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ユーべ10連覇を目指すピルロ監督 戦友ガットゥーゾ、インザーギは“苦労知らずの天才包囲網”結成
 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/12/27 17:01

ユーべ10連覇を目指すピルロ監督 戦友ガットゥーゾ、インザーギは“苦労知らずの天才包囲網”結成<Number Web> photograph by Getty Images

ピッチの司令官だったピルロ。ユーべを10連覇に導き、名将への階段を登れるか

 11月中旬、ミラン時代の恩師アンチェロッティは民放バラエティ番組のインタビューに応える形で「あの天才にアドバイスなど必要ないよ」と言いつつ、いつものおっとり口調で愛弟子ピルロに金言を送った。

「監督業を本気でやっていこうと思うのなら、誰か他人の借り物だったり妥協するのではなく、自分が本当に望むサッカーをやることだ」

クールなピルロが言葉で訴えかけ始めた

 決して動じず、感情を見せない男として知られるはずのピルロが変わり始めている。

 試合後の会見で穏やかに両手を組む仕草は現役時代そのままだが、監督としてのスーツ姿が馴染むにつれ、選手たちへ直接訴えかけるようなボキャブラリーを使うようになった。

 リードしていたベネベント戦が引き分けに終わったときには、「こういう試合は2点目を取りにいってゲームを終わらせるべきだった。我々にはガッツが欠けているんだ」と活を入れた。また、アタランタ戦で軽いプレーに終始したFWアルバロ・モラタには「よくも私を怒らせてくれたな」と、珍しく眉を釣り上げて叱咤した。

「批判には慣れている」

 チームに火がついたのは、12月5日のトリノ・ダービーだ。腑抜けたような前半から一転、ロナウド頼みという批判を一蹴して、89分にDFレオナルド・ボヌッチのゴールで逆転勝ちした。

「ユベントスでは覇気のないゲームは許されない。全員にもっといいプレーを望む」

 そう言って勝って兜の緒を締めると、3日後のCLグループリーグ最終節ではバルセロナを敵地カンプノウで完璧に破った。

「批判には慣れている。勇気と自信をもってゲームに挑む。それさえできれば、我々には何だって可能だ」

 ピルロは、トリノ・ダービーでの白星で勝ち点3が導入された1994年以降、新人監督として初めて開幕10戦無敗を達成した。記録は13節まで伸び続けた。

 指導者になって初めてのクリスマスと年越しが過ぎたあと、ライバルたちがさらに攻勢を強めてくることも、天才は予見しているだろう。

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