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<異例の転身>『ハイキュー!!』俳優がVリーガーに!羽富琉偉「芸能のお仕事もバレーボールも基礎が大事」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byHiromi Ishii
posted2020/12/24 11:02
現在はミドルブロッカーに挑戦中の羽富。新シーズンに向け、充実の毎日を過ごしている
千葉ZELVAのトライアウトに合格
今年、千葉ZELVAのトライアウトに自ら応募し、合格。通常、プロチームのトライアウトは長くても2~3日で行われる場合が多いが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、テスト生は1カ月チームに同行してテストが行われた。
「最初はウォーミングアップだけでヘトヘトでした。他の選手はそのあと、次の練習に入っていくんですが、そこでまずは圧倒的な体力の差を感じましたね」
ボール練習とともにウェートトレーニングに励み、トライアウトを受けたときは72㎏だった体重が85kgまでアップした。モデル時代は体形維持のために減量していたという羽富だが「減らすのもきつかったけど、増やすのもこんなに大変なんだって思いました」と苦笑する。
目下の課題はレギュラーに一歩でも近づくことだという。
「アウトサイドヒッターで採用してもらったんですけど、今はミドルブロッカーに挑戦しています。身長がある分、ある程度、高さには自信があります。でも打つ力とか、パワー、技術がまだ足りません。まずはパワーをつけてスパイクやブロック、サーブの質を上げることが課題です」
芸能でも活躍の場を探していく
千葉ZELVAに入団して、新しい目標もできた。
「僕を通じてバレーボールをやったことがない人、見たことがない人が、バレーボールに興味を持ってくれたら。1人でも2人でもいいので……。それが今、ここに僕がいる理由でもあると思います。バレーボールのコミュニティはまだまだ広がる可能性があると思っています。そこを広げられる手助けをしたいですね」
練習の合間には、自ら進んでボールを用意したり、モップをかける羽富の姿があった。
「大学2年から芸能活動を始めたので、僕はあまり社会のことがわかっていなかった。カメラマンさんとかスタッフさんなど裏方の人がすべて準備してくれて、『どうぞどうぞ』と言われるほうの立場でした。当時もそれが当たり前だとは思っていなかったですけど、そこに甘んじて、感謝が足りていないことがあったんじゃないかと、ゼルバでバレーボールをするうちに気づきました。今は一層、いろいろなことに感謝しなければいけないと思っています」
もちろん、芸能活動でも引き続き、活躍の場を探すという。
「芸能界でスターになる。ゼルバでレギュラーになる。両方の夢を叶えたいです。叶えるまで諦めずに続ければ、叶うと思っています」
V.LEAGUEディビジョン3の開幕は1月9日。初戦はクボタスピアーズとの戦いとなる。異色のルーキーに注目してほしい。