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<異例の転身>『ハイキュー!!』俳優がVリーガーに!羽富琉偉「芸能のお仕事もバレーボールも基礎が大事」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byHiromi Ishii
posted2020/12/24 11:02
現在はミドルブロッカーに挑戦中の羽富。新シーズンに向け、充実の毎日を過ごしている
重宝された羽富のバレー経験
書類選考、第一次面接を通った羽富は最終選考の自己PRの場でフライングレシーブの動作を連続で1分30秒間続けた。その必死な姿が、元気で真っ直ぐなキャラクターに配役されるきっかけとなった。
「キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当に努力して『いい舞台を作ろう』としている現場でした。その姿を見ていたら『僕にできることがあれば何でもしたい』と思って……。18年の出演は映像のみだったんですけど、撮影がない日も『行きます』と言って現場に行って、バレーボールのことをいろいろとアドバイスさせていただいたんです」
翌19年、演劇「ハイキュー!!」“飛翔”から出演者がガラリと替わり、リニューアルされた公演だった。振り付けや舞台上での動きも一新。そこで羽富はバレーボール経験者としてますます重宝されることになる。
舞台もバレーボールも同じ“チーム”
「バレーの練習のときにはアドバイスをしたり、ときには厳しい言葉も言ったんですけど、キャストの皆さんは本当にバレーボールに真摯に向き合う人ばかり。ステージは毎日2公演、休演日明け1公演の全部で33公演あったんですが、すごくハードでしたけど、最終日にはやり切った感動でみんなで泣きました。舞台もバレーボールと同じ“チーム”なんですよね。僕の演技についても、ほかの俳優が意見を言ってアドバイスをしてくれて、そうやって『よりいいものを』という目標に向かって戦っているんだと思いました」
稽古後のマッサージを買って出て、俳優陣の話を聞くうちに、バレーボールの面白さと魅力も再発見した。
「演じている人にも原作やバレーボールの面白さが伝わっている。バレーって競技経験のない人でもこれだけ楽しんで、熱くなれるものなんだと思いました。人生にこんなに熱くなれるものがあるんだ、って……。ああ、これだって。まずはバレーボールにちゃんと向き合いたい、って思ったんです」
ステージを通じてガムシャラに何かに取り組むことの楽しさを痛感した。そして一度離れたバレーボールにもう一度、挑戦したいという熱が高まったと語る。