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【プレミア初得点】「タキ、とにかく楽しめ」南野拓実を見捨てず…名将クロップの愛情が熱すぎる
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/12/21 11:40
プレミア初ゴールに雄叫びを挙げた南野拓実。ついにクロップ監督の期待に応えた
クリスタルパレス戦の試合前、現役時代にチェルシーやリバプールでプレーした元イングランド代表MFのジョー・コールは、南野について次のように語った。
「クロップは選手補強での失敗が少ない」
「昨シーズンと合わせると、プレミアリーグ17試合に出場して無得点。たしかに、理想的な状況ではない。だが南野が、リバプールという巨大なマシーンのようなチームに入ったことを忘れてならない。しかも、加入する前の2年間、クロップはチームメンバーをあまり変えず、選手をほぼ固定して戦ってきた。南野はそんな完成度の高いチームに加わり、すぐに違いを生み出す必要があった。それは難しいことだと思う。とはいえ、クロップは選手補強での失敗が少ない。南野には才能があるし、これから伸びていくと思う」
マクマナマンも南野の状況に理解を示す
リバプールのプレースタイルは極めて特殊だ。取材現場で強く感じるのは、目が回るほどのスピードである。
パスやカウンターといったプレースピードはもちろん、選手個々の状況判断も異様なほど速い。取材ノートにメモを書こうと下を向き、ふたたび顔を上げたら戦況がまるで変わっていたことも少なくない。この中にポンと入り、すぐに存在感を示すのは決して容易なことではない。J・コールの言葉から考えれば、突如覚醒したジョタの方が、むしろ例外的だったのだろう。
リバプールのクラブOBで元イングランド代表MFのスティーブ・マクマナマンも、J・コールの意見に同調する。イングランドからスペインに渡り、レアル・マドリーで2度の欧州制覇を経験した「海外移籍の経験者」は、次のように話した。
「南野の状況は簡単ではない。オーストリアのザルツブルクから比較的安い移籍金でリバプールにやってきた。2シーズン前にチャンピオンズリーグを制したリバプールと、ザルツブルクの差は計り知れない。選手の質も格段に上がるし、クラブ規模も大きく違う。言葉の壁もあるだろう。だから、適応に時間がかかるのは当然だ。実際、南野がリバプールですぐに活躍できるとは思っていなかった。でも、これからの数年間で、彼は確実に成長していくと思う」