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コロナ禍で「東大医学部」のアメフト部は何をした?「最初で最後の戦いだ!」【偏差値最強】 

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齋藤裕(Number編集部)

齋藤裕(Number編集部)Yu Saitou

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photograph byYu Saito

posted2020/12/20 17:00

コロナ禍で「東大医学部」のアメフト部は何をした?「最初で最後の戦いだ!」【偏差値最強】<Number Web> photograph by Yu Saito

将来は整形外科医を考え、来年からは臨床の道に進む6年生の前村

70kgから103kg、ほぼ別人に成長。しかし…

 そうしてアメフトにのめり込んだ前村の体重は入学時の70kgから103kgと、ほぼ別人と言えるほどに成長。主将の八木も63kgから82kgと約20kgも増えている。

 今まで進化させてきた肉体。それを維持、強化するために、チームの練習がない期間もそれぞれトレーナーの指示を受け鍛錬に励んだ。

 トレーニングを続ける中で、主将の八木は不安を感じていた。

「昨年、卒業した6年生選手が多かったこともあって、今年は一気に若いチームになった。チーム揃っての練習時間が絶対的に足りてないな、と」

 攻撃、守備ともに何十ものプレーのパターンを頭に叩き込み、身体で実践し、チームとして動くアメフト。戦術の共有など準備が要となるこの競技で、チームとして成り立つには何物にも代えがたい一緒に練習する時間が、絶対的に不足していた。

 5月末には緊急事態宣言解除となるもチームでの練習はできない状況が続き、ようやく7月末にグラウンドの利用が可能になる。八木は早速、部全体に連絡し、任意でグラウンドに部員たちを集めた。いきなり本格的な練習はできないのは承知の上で、チームとしての第一歩をまずは踏み出したかった。

 練習を始めると、グラウンドに見慣れた顔が現れた。前村だった。2年前、主将を務めた前村は他の6年生を連れていた。夏まで就職活動で練習に出られないはずだった2年上の先輩。しかし、その表情は再開を喜ぶ笑顔ではなかった。

【続きを読む】 クラスターが発生したら、世間は僕たちを許さない… 東大医学部アメフト部が苦悩の末にたどり着いた一戦 へ

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前村叶基
八木佑樹
東大アメフト部

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