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コロナ禍で「東大医学部」のアメフト部は何をした?「最初で最後の戦いだ!」【偏差値最強】 

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齋藤裕(Number編集部)

齋藤裕(Number編集部)Yu Saito

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posted2020/12/20 17:00

コロナ禍で「東大医学部」のアメフト部は何をした?「最初で最後の戦いだ!」【偏差値最強】<Number Web> photograph by Yu Saito

将来は整形外科医を考え、来年からは臨床の道に進む6年生の前村

ヘッドコーチは甲子園ボウル優勝経験者

 スコーピオンズは1983年創設と40年近い伝統を持つチームで医科歯科I部リーグに所属。彼らは学業と並行しながら、水曜と金曜の夜、土曜朝の3時間ほどを使って週3日間練習を重ねている。公式戦では慶大医学部、東京医科大などの医学部、歯学部、薬学部の学生たちと対戦。昨年はリーグ6チーム中3位となった。

 チームのヘッドコーチは谷口義弘が務める。谷口は1975年に選手として名門・関西学院大で甲子園ボウル優勝に輝き、年間最優秀選手賞のミルズ杯を獲得したRB(ランニングバック)だ。卒業後は大手商社に勤めた彼は、とある縁からチームに関わるようになる。

「99年に息子が東大の医学部に入って、どういうわけかアメフトを始めたんです。それで見に行っているうちに自分の存在が知られて、コーチを頼まれまして。それで今もボランティアでやらせてもらっています」

「君たちが考えて、判断しなさい」

 最初はもどかしく感じたチームも、指導していくうちに彼らの特徴に気付かされた。

「みんな真面目です。最初は学生もガリガリかポチャっとした子が多いのですが、筋トレをしようといったらみんなしっかりしてくる。日々の練習でもこちらが細かく説明したらそれを理解してくれる、集中力がすごくあると感じています」

 しかし、ヘッドコーチがこの組織のすべてを率いているわけではない。

「僕がヘッドコーチをするのも、学生で話し合ったうえで、頼まれればやるという形になっています。それで20年近くやらせてもらっています。

 戦術面や人として学生に伝えるべきことは教えているつもりですが、部の方針などには基本口出しをしていません。春頃、八木主将から部の活動停止について報告を受けたときも『君たちが考えて、判断しなさい。どういう判断であれ、コーチは全面的にサポートします』と伝えました」

【次ページ】 「八木が今季の主将で良かったと思います」

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