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コロナ禍で「東大医学部」のアメフト部は何をした?「最初で最後の戦いだ!」【偏差値最強】
posted2020/12/20 17:00
text by
齋藤裕(Number編集部)Yu Saito
photograph by
Yu Saito
大学アメフトの頂点を決める甲子園ボウルが有観客で行われた12月13日。東京の某グラウンドでは、今季の特例として関東大学3部リーグに属する1チームとエリアリーグに属する2チーム、そして医科歯科リーグで唯一参加を表明したチームで構成されたトーナメント「混成Fグループ」の一戦が行われていた。
東京国際大学vs東京大学医学部――。
試合前、関係者のみが観客席に入り、両校のスタメンが背番号、ポジション、名前、出身校の順でアナウンスされる。東京国際大学の後、東京大学医学部スコーピオンズのスタメンもオフェンスラインから次々と読み上げられていく。
<レフトタックル 72番 前村叶基 6年 灘高校>
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<ディフェンスバック 81番 八木佑樹 4年 開成高校>
……
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東大理系のなかでも群を抜いた精鋭たち
東大は理科一類、二類、三類とあるが、スコーピオンズに所属している20名の選手は1~2年の理科三類と3~6年の医学部生のみ。理科三類は多くが医学部に進み、理系の中でも別格とされている。2020年実施のセンター試験と2次試験の得点をあわせた三類の最低合格点は385.6点。一類(320.7)二類(313.0)と比べると東大理系の中でも群を抜いているのだ。20年合格者ランキングは灘高校、開成高校の順で多く、スコーピオンズの部員も同様に灘、開成の順で多い。
攻守それぞれ11名が必要なアメフトにおいて、20名のチームはかなり少人数のチームと言える。その学歴もあいまって、クールな少数のエリート集団を思わずイメージしてしまう。しかし、試合開始直前、選手全員が集まり組んだハドルで、主将・八木佑樹の飛ばした檄は熱気を帯びていた。
「最初で最後の戦いだ! すべての思いをのせろ!」