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巨人の悲しき「戦力外通告」 3年前、村田修一(36)の“非情なリストラ”がジャイアンツに残した遺産
posted2020/12/12 17:03
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
BUNGEISHUNJU
「巨人、村田修一内野手と契約結ばず」
2017年10月13日夜、新幹線車内の文字ニュースが流れ、それを横目で確認しながら、ノートパソコンで「村田、自由契約」の原稿を書いたのをよく覚えている。微妙に目を赤くしながらキーボードを叩くジャイアンツパーカー姿の俺。遠目から見たら完全に彼女にフラれた男である。
その年の村田の成績は118試合で打率.262、14本塁打、58打点。あらためて見たら2020年のウィーラーより打ってるな……というのは置いといて、通算360本塁打、2000安打までは残り135本と迫っていた。前年の16年シーズンはチームぶっちぎりトップの21併殺打……じゃなくて、打率.302、25本、81打点という堂々たる好成績で、セ・リーグ三塁手ベストナインとゴールデングラブ賞に輝いている。誰がどう見てもまだまだ現役で充分できる印象だった。
鹿取GM「せめてもの誠意」の真意
東京ドームの二階席から心の“ムラメーター”で、芸術的ゲッツー数をカウントしていたイチ村田ファンとしては、もちろん自由契約を知った瞬間はショックで怒りを通り越して力が抜けた。なんだか熟年離婚のような終わり方だなと思った。愛や怒りというより、そこにあるのは悲しい大人のリアル。17年の巨人は11年ぶりのBクラスに沈み、初めてCS出場を逃して若返りを図りたいチームと、いればどうしてもベテランに頼ってしまう現場の事情……人にはそれぞれ事情がある。3年契約の高橋由伸監督にとって、18年シーズンは勝利と育成の両方の結果を求められる正念場だった。