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「15歳にして計344ゴール」で年齢詐称疑惑も ドルトムント16歳ムココ、寮住まいでも潜在能力は特大
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/12/11 17:20
16歳ながら強豪ドルトムントで積極起用されるムココ。数年後、どんな成長曲線を描いているだろうか
ドルトムントSDミヒャエル・ツォルクは「私が見ている限り、彼は非常にうまくそうした環境とつき合っている」と話し、育成アカデミーダイレクターのラース・リッケンは「非常に地に足がついた青年」と称する。
ムココを知る関係者が称賛する点とは
寮住まいのムココは18平方メートルの部屋に共同で暮らし、共同シャワーを使う。チームメイトともとても仲が良い。U19監督マイク・トゥルベルクは「彼の笑い声はよく聞くね。それに多くの場所で模範的なふるまいをしている」と語る。誰かが助けを必要としているときには、ムココはいつも最初に手を差し伸べる存在だという。ムココはいつでも陽気で人間味があり、みんなの人気者だ。
そしてムココを知る関係者がみな口をそろえて称賛するのは、自ら努力を惜しまないその姿勢である。
ドルトムントの育成アカデミーダイレクターであるラルス・リッケンは「ドイツで彼ほどゲームとトレーニングに時間を費やした育成選手はほとんどいないと思う。彼はそうした負荷でさえ、見事にはねのけてしまう。いつでも極めてプロフェッショナルに取り組み、食事や栄養に気をつけ、十分な睡眠をとり、体のケアを大事にしているからできることだ」と評価。トゥルベルクは「毎日自分の目標に向けて必死でトレーニングしていたよ。自身のプレーをよりよくするためにできることすべてにいつでも本当に全力で取り組むんだ。朝からジム施設でトレーニングをしていることも普通だ。自分がどこを目指したいのかをはっきりと理解している」とセルフモチベーションの高さに感心していた。
狂騒に巻き込まれて自分を見失う気配は一切ない。
現時点ではすべてのインタビューを断って
ロウカのコメントが印象的に響く。
「将来的なことは誰にもわからない。どんな未来になるのかは見えないよ。でも当時僕らはみんな話していたんだ。もし彼がプロ選手になれないんだったら、いったい誰がなれるんだ、って」
クラブサイドもメディアの注目を集めずに、プレーにだけ集中してもらうようにと、ここまですべてのインタビューを断っている。
首脳陣はムココに対するコメントを抑えて、メディアやファンによる熱狂のコントロールを試みる。ファブレ監督は「彼がまだ16歳になったばかりだというのを忘れてはいけない。彼はいい選手だ。だが我々にはほかにもいい選手がいる」と語り、期待しすぎないようにとアピールした。