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「15歳にして計344ゴール」で年齢詐称疑惑も ドルトムント16歳ムココ、寮住まいでも潜在能力は特大
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/12/11 17:20
16歳ながら強豪ドルトムントで積極起用されるムココ。数年後、どんな成長曲線を描いているだろうか
実際にここから対戦する相手は、世界の一流FWと対峙し続けてきているDFだ。
これまでは余裕で作れていた時間や空間がない中でどんなプレーをするのかが求められる。いつでもフェアに対峙するわけではなく、あらゆる駆け引きでFWを試合から消すことにたけたDFがたくさんいる。相手のタイミングでプレーできないように体をぶつけてきたり、得意なプレーをさせないように巧みに誘い込む。
サヒンは「ずっと太陽だけが輝き続けていたのだろう。雨降る日を彼はまだ知らない。だが今後はうまくいかない日も来るだろう。そうした時に周りにいる人間が彼とともに歩み、支え、ネガティブな記事を書かれることもあるのを認識できるようにすることが大切なんだ」とアドバイスを送っていた。
ドルトムントはハーランドが離脱中
そんなわけで本来はじっくりとプロでの活動に順応し、少しずつ出場機会をもらい、少しずつなじんでいくことがクラブ本来の指針だったわけだが、それを許さない事情がチームを襲っている。
チーム得点王のアーリング・ハーランドが練習中に肉離れで離脱。1月上旬まで復帰できない。ここまで本職ではないマルコ・ロイスやユリアン・ブラントをトップの位置で起用したが、やはり必要な動きとかみ合わない。
しかし0-1で折り返したフランクフルト戦では後半開始からムココが途中出場すると、チーム全体の攻撃が活性され、引き分けに持ち込むことができた。
試合後ファブレは「裏へ抜けようとする動きがあることで、チームにスペースが生まれる」とその動きに合格点。シュートまでは持ち込めなかったものの、物怖じする気配すら全く見せずにパスを要求し、勝負に行く姿勢はやはりただものではない。
大事に育てたいクラブとしての思いと、今すぐにCFが必要なチーム事情。ファブレにとって悩ましい問題だろう。だが選手にとって必要なのが試合機会であるの間違いない。
同じように世界中のメディアから注目を受けながら自分のプレーを発揮し続けるハーランドというよき理解者がいるのも大きいだろう。プロのピッチで躍動するムココの姿を我々も楽しみに見守りたい。