「1番ジャッジさんを狙って（キックを）出来た」

　まさに坂本の演技も、トータルパッケージというに相応しいもの。ジャンプ1つ1つが技術的に完ぺきだったのはもちろんのこと、そのジャンプの勢いや飛距離からくる力強さが、映画『マトリックス』の世界観とみごとにマッチする。ジャンプそのものが演技になっているのだ。

　そして最後のコレオシークエンスでは、リンクの壁ギリギリを滑りながら脚を前に蹴り上げ、一番左側のジャッジに当たりそうになるほどの勢いだった。

「最後のコレオシークエンスで、1番ジャッジさんを狙って（キックを）出来たのが、今回の演技で一番良かったところです」と坂本。ジャッジを狙うコース取りまでが、偶然ではなく狙いだったということに、改めて驚かされた。

「舞依ちゃんと一緒に練習しているのがお互いの励みに」

　フリーは、出来映え（GOE）で4点や5点の加点がずらりと並ぶ。特筆すべきは、演技構成点で9.75や9.5の高得点を出したジャッジが何人もいたことだろう。昨季は同じプログラムでも「7点台後半～8点台前半」だったことから考えると、トータルパッケージとしての魅力が、演技構成点を大きく引き上げたと言える。

「練習でもノーミス出来ることが多くなってきていたので、練習通りやろうと思っていました。（三原）舞依ちゃんと一緒に練習しているのがお互いの励みになっていると思います。このフリーを、去年はクリーンに滑ったことがなくて、ノーミスするとこんなに点数が出るんだなというのを実感できて嬉しいです」

　フリーは153.91点で自己ベストを7点も上回り、総合229.51点をマークした。

「ショートの取りこぼしがなければ230点は超えられます。全日本選手権ではパーフェクトの演技をしたいです」

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