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菅野智之、有原航平はどうなる? メジャー球団は“出し渋り”ではなく“出せない”っぽいが…
posted2020/12/04 11:01
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Nanae Suzuki
サンクスギビング(感謝祭)の休暇も終わり、本来であれば、メジャー球界はストーブリーグ真っただ中で、具体的な動きが目立ち始める時期、のはずだった。
ところが、今季はなかなか先行きが見えてこない。近年、メジャーのFA(フリーエージェント)市場はスローな動きが定着した感があるものの、コロナ禍の影響で公式戦が60試合に短縮され、ポストシーズンの数試合を除けばすべて無観客で行われた特殊なシーズン後は、明らかに例年とは漂う空気が違う。
資金繰りに頭を悩ませる各球団
例年行われるはずのGM(ゼネラルマネジャー)会議や、球界関係者が一堂に集うウインターミーティングは中止となり、交渉が具体化するタイミングを失った。
その影響からか、大金が舞う予兆もなく、資金繰りに頭を悩ませる各球団は、あくまでも慎重な姿勢を崩していない。その一方で、選手・代理人側が、「特殊なシーズン」を理由に、簡単に妥協するはずもない。
つまり、妥協点は見つけにくく、収拾は付きづらい。
AP通信によると、フィリーズの場合、2020年の損失額は1億4500万ドル(約152億円)と試算されており、経営状態はひっ迫しているものとみられている。
19年から主砲ブライス・ハーパー外野手と13年・総額3億3000万ドル(約342億円)の超大型契約を結んだこともあり、今オフFAとなったJT・リアルミュート捕手、ディーディー・グレゴリアス遊撃手との残留交渉にしても、簡単には進められない状況に立たされた。
メジャー屈指の資金力を持つヤンキースにしても例外ではない。むしろ、苦しい懐事情は他球団以上で、地元ラジオ番組に出演したオーナーのハル・スタインブレナー氏は「今年、我々には明らかな損失が続いており、球界のどの球団よりも多い」と、現状を明かした。