ピッチ内でもコーチングの声が圧倒的に多い

　この日はポケットモンスターの主人公サトシの声を務める松本梨香さんがポケモン調で選手紹介した。登里の必殺技が「おしゃべり」と紹介されると、賛同するような拍手がスタンドから起こった。

　明朗快活なキャラクターからピッチ外でのトーキングマシンぶりは有名ではあるものの、ピッチ内でもコーチングの声が圧倒的に多いゆえだ。プレスでハメに行くときに後方から「GO！」が飛んで、味方もノボリに信頼を置いているから前線の選手には迷いがない。

　おしゃべりの中身にも工夫がある。流れがフロンターレにあるとなったら相手を威圧するようにコーチングの声をわざと大きくしたり、味方がミスをしてプレーが切れたときに「OK！（問題ない）」と一言を忘れなかったり……状況に応じてマメに声を掛ける。

　登里はチームの口。それが可能なのは、彼がチームの目であるからだ。

中村憲剛に「突貫小僧」と称された

　サイドアタッカーの役割を担っていた彼がサイドバックに本格的に挑戦することになるのが風間八宏監督体制になる2012年シーズン。グイグイと前に行くそのスタイルから中村憲剛に「突貫小僧」と称された彼にとって、ここがターニングポイントになる。

　登里は言う。

「風間さんになって自分のサッカー観、プレースタイルが変わったことは間違いありません。よく『サイドバックはチームの目になれ』と言われていたんですけど、当時はどういうことなんやろ？って真に理解できていませんでした。でも今は分かるつもりです。

　サイドバックって場所的にも相手の動きがよく見えるんです。スペースが空く瞬間、相手が食いつく瞬間、スライドする瞬間……じゃあここで俺がランニング掛けたらフリーになるとか、どうすればいいのかというのは自分なりに見えているつもりです。ようやくサイドバックの面白味が分かってきて、前に風間さんが言ってくれたことも理解できるようになった感じはありますね」

　チームの目となってアシストしたシーンがある。

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