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【生前最後のインタビュー】マラドーナが語っていた“サッカー人生の誇り”「ボールを通じて人々を幸せにできた」
text by
フローラン・トルシュFlorent Torchut
photograph byJMPA
posted2020/11/30 11:02
10月30日には60歳の誕生日を迎えていたマラドーナ。おそらく、これが生前最後インタビューとなった
「ああ、ああ、とてもよく覚えているよ(声に力がこもる)。マルセイユからコンタクトがあって、2倍のサラリーを支払うというオファーを受けた。当時、僕が所属していたナポリのコラド・フェルライノ会長は、ヨーロッパカップを獲得したら移籍に同意すると僕に約束した。ナポリはタイトルを獲得(89年にシュツッツガルトを2対1、3対3で破り、UEFAカップを獲得)し、ベルナール・タピ(OM会長)、ミシェル・イダルゴ(同スポーツマネジャー)がイタリアにやって来た。彼らは具体的なオファーを提示し、ミラノで一緒に話し合った。ナポリに戻って僕はフェルライノにこう言った。『ここで毎年いい時間を過ごせたことに感謝します。僕はナポリを離れます』と。ところがそこから彼はおかしなことをやりはじめた。まるで何も理解していないかのように、すべてを元に戻してしまったんだ。それで移籍が立ち消えになった」
――そういうことでしたか。それでは60歳の誕生日祝いとして、最も欲しい贈り物はなんでしょうか?
「イングランドを相手に、今度は右手でゴールを決めるのが、僕が夢見る贈り物だ(爆笑)」
(#2 マラドーナに聞いた「“伝説”として崇められることをどう思いますか?」【生前最後のインタビュー】 に続く)