アーモンドアイほどの名馬が1番人気を譲る？

　ルメール騎手が騎乗するのはアーモンドアイ（牝5歳、美浦・国枝栄厩舎）。先述の天皇賞（秋）は昨年に続く連覇だったわけだが、これで彼女が制した芝GIは実に8つ。これはディープインパクトやシンボリルドルフといった名馬も成し遂げられなかった記録で、JRAでは史上初の快挙。一昨年には牝馬3冠の他にジャパンCも優勝。それも2分20秒6という驚異的なレコードタイムで制してみせた。今回のジャパンCが現役最後の1戦で、自身の持つGI最多勝記録更新を目指す彼女がレコード勝ちをしたこの舞台に帰ってきたのだから、本来なら間違いなく1番人気に推されそうなところ。しかし、今年に限ってははっきりとそう言い切れない。これだけの名馬をしても1番人気を譲ってしまう可能性が考えられるのだ。

コントレイル、デアリングタクトを分析すると

　アーモンドアイを押し退けて1番人気に支持される可能性があるのがコントレイル（牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎）だ。先にも記したようにこの馬は今年、無敗で3冠を制した若駒。デビュー以来、ここまで実に7戦7勝。ただの1度も他馬に遅れてゴールした事はないわけだが、その7戦のうち3冠を含む計6戦で手綱を取ってきたのが福永騎手。もちろん今回のジャパンCでもその鞍上を任されている。牡馬の3冠馬が、3歳という事でアーモンドアイと同じ55キロでの出走なのだから、当然、大きな期待が懸かる。

　このコントレイルを「すでに歴史的な名馬」と評するのがデアリングタクト（牝3歳）を管理する杉山晴紀調教師（栗東）だ。こちらはJRA史上初めて無敗で牝馬3冠を達成。杉山調教師流にいえばこの馬も“すでに歴史に名を残した名牝”と言えるだろう。デビュー以来5戦5勝ではあるが、牡馬を相手に戦ったのは新馬戦の1回のみという事で人気面ではアーモンドアイやコントレイルより劣りそうだが、それでも3番人気にはなりそう。前走の秋華賞から中5週の臨戦過程や53キロで出走出来る面ではむしろ先の2頭よりもアドバンテージがあり、そういった事を考慮すると上位2頭に肉薄した3番人気という可能性も充分にありそうだ。

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