原監督「もう前に行くしかないわけだから」

　第2戦では1回の1点を先制してなお1死一、三塁という場面から栗原陵矢外野手の右前タイムリーで一塁走者のジュリスベル・グラシアル外野手が好スタートから一気に走って、最後は三塁に頭から滑り込んだ。この走塁で三塁を奪ったことで、次打者のアルフレド・デスパイネ外野手の内野ゴロで3点目を奪っている。

　一方の巨人は3回2死一塁から吉川尚の詰まった左前安打で、一塁走者の中島宏之内野手は二塁でストップ。2死で1ボール2ストライクという状況から、打者がスイングした瞬間に走り出せるシチュエーションだった。ところが中島は、まったく三塁を奪う仕草も見せずに二塁で止まってしまっている。

　3連勝でソフトバンクが投打に圧倒しているのは確かだが、実はそれだけではない。

　ソフトバンクの選手には1つ、1つのプレーをしっかり最後までやり切る「球際の強さ」がある。そして巨人の選手には、その最後の強さを生むはずの「あと一歩」がない。

　自力の違いに、さらに「球際」の違い。

　そう考えればソフトバンクの3連勝は、必然の帰結だったのかもしれない。

「もう前に行くしかないわけだから。そういう気持ちで行きます」

　試合後の巨人原辰徳監督の言葉だ。

　もはや打つ術はないのかもしれない。

　それでも前を見て戦うしかない。できることは当たり前だが、「最後の一歩」をしっかり踏み出して地に足をつけて当たり前のことを当たり前にやるしかないのである。