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イタリアの“消えた天才”は今、何を? タバコ1日20本の酔いどれゴーラー、下ネタ連発テクニシャン…
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/11/24 17:02
ウブネル(左)とディアマンティ。濃すぎるパーソナリティのフットボーラーには心惹かれてしまう
「アッズーリに呼ばれなかったことが、サッカー人生で一番苦い」
妻からのお達しで随分と酒量を減らされたグラッパをちびりちびりやりながら、背中を丸めたウブネルは今も蒼いユニフォームに思いを馳せている。
異才のレフティー、ディアマンティ
今のところイタリア代表が最後に決勝まで進んだメジャー大会である、EURO2012ウクライナ/ポーランド大会で、異彩を放つファンタジスタがいた。
左足から放つキラーパスやFKを見込まれ、ボローニャから招集されたMFアレッサンドロ・ディアマンティだ。
スペインとの決勝戦に敗れ準優勝に終わったものの、天才司令塔ピルロを軸にFWカッサーノとFWバロテッリの悪童コンビが活躍した同大会のアッズーリは個性派揃いで、攻撃のアクセントをつけるためのオプションとして智将プランデッリが抜擢招集したのがディアマンティだった。
難病上がりで体力面の不安があったカッサーノのリザーブ扱いながら、途中出場した大会準々決勝イングランド戦では重責のかかるPK戦5人目のキッカーとして大役を果たしている。
インタビューを読むと放送禁止用語だらけ
当時、ディアマンティは30歳を前にしていたが、言動は自由奔放そのもので、何かに縛られることを忌避していた。
最初に彼のインタビュー記事を読んだとき、目が点になったことを強烈に覚えている。とにかく伏せ字だらけ、放送禁止用語ばかりなのだ。
「引退後に何をしたいかって? チ○ポ、一杯飲み屋でもやるか」
イタリア語のスラング表現として、男性器を意味する言葉がくだけたやり取りの中でポロッと漏れてしまうことはままあることだ。記事になる前に割愛されるのが普通だが、記者と編集者は“これぞディアマンティのパーソナリティだ”とみなして、そのまま活かしたらしい。
彼のテクニックと得点センスは一級品だった。