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「悪いものは悪い」サイン盗み発覚から1年で監督復帰 再チャレンジの2人は何を語った?
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2020/11/22 11:01
2018年のア・リーグ優勝決定戦で対戦したヒンチ(左、アストロズ監督)、コーラ(右、レッドソックス監督)の両氏
時期尚早と見る向きは少なくない
17年アストロズでベンチコーチを務めたコーラは、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが作成した15ページの調査書に計12回も名前が頻出するなど、サイン盗みを主導した人物とされた。
それでも、レッドソックス首脳陣は、数人の監督候補者の中から18年に就任1年目で世界一に導いたコーラを選択した。
ヒンチとコーラが1シーズンで現場に復帰することを、時期尚早と見る向きは少なくない。非を認め、正式に謝罪したとはいえ、対戦相手だけでなく、ファンを欺き続けた末につかんだチャンピオンリングの価値に異論を唱える声は、依然として後を絶たない。
ただ、彼らは刑事事件を起こしたわけではなく、球界内で処罰を受け、一定の社会的制裁を受けたと判断される立場でもある。タイガース、レッドソックスとも、ファンからの反発があることを覚悟したうえで招聘に踏み切ったのは、何よりも彼ら2人の手腕を高く評価しているからにほかならない。
17年アストロズ、18年レッドソックスとも、たとえ不正がなかったとしても世界一になれる実力があったと言われるほどで、彼らのように戦術、戦略に長け、シーズンだけでなくポストシーズンを「勝ち抜ける監督」は決して多くはない。
「人間は経験から学び、成長していくものだ」
来季、有観客となるかは不明だが、最前線で指揮を執る2人の前途は、決して容易なものではない。チームの結果に関わらず、ファンやメディアの厳しい声や批判は避けて通れないだろう。
復帰が決まった直後、コーラは言った。
「このことを、すばらしいカムバックストーリーのように論じてほしくはない」
ヒンチの監督復帰を後押したタイガースのCEOクリストファー・イリッチ氏は、ヒンチの「セカンドチャンス」に期待を込め、チーム再建を託した。
「人間は経験から学び、成長していくものだ」
一度失った信頼を取り戻すことは簡単ではない。
2人の指導者は、いかにチームをまとめ、舵取りをしていくのか。
本当の手腕が問われるシーズンとなる。