マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトウラ話【ソフトバンク・ロッテ編】 ホークス関係者が明かした「天才ショート探してます」その結果は?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJiji Press
posted2020/11/15 17:03
ロッテ3位指名を受けた國學院大・小川龍成(写真は2019年日米大学野球)
エラーやポカは一度も見た覚えがない
とんでもないスーパープレーはなくても、守備範囲に飛んできた打球はまず間違いなくさばいて、アウトにできる。投手にいちばん信用されるタイプのプレースタイルを持ったショートストップだ。
1年生から試合に出場するようになり、2年生から「國學院のショートストップ」。15試合は見ているはずだが、エラーやポカは一度も見た覚えがない。
「ひと口に言って、しっかり守れる。単にアウトにするだけじゃなく、360°に対する配慮ができる」
國學院大・鳥山泰孝監督の分析は、さらに微に入り細をうがつ。
「敏感力と鈍感力のバランスがいいって言うんですか……一点に集中し過ぎないから、ワンプレーに対して緊張し過ぎない。彼にミスが少ないのは、そういうところからも発してると思います」
社会人球界でもうワンランク、バッティングを強化してからでも……。そちらのルートを勧める声もあったそうだが、本人あくまでも「即プロ」を貫いたという。
「今のフィールディングだけでも、一軍の内野手7、8人の枠に入ってくると思いますが、今の小川のバッティングだと、たとえば同じ“東都”出身の京田君(陽太・現中日)と比べると、まだちょっと脇役感がある。そのへんは、彼も、学生ジャパンの合宿で痛感していて、仮に凡打になっても強く振る、強く振れる打者になることを目指して、ずいぶん振り込みました。僕は、そこは、彼の伸びしろだと解釈してます」
ところで、國學院大・小川龍成を取り上げたこのコラムで、わざわざ「ショートストップ」という表現を繰り返し使ってきたのは、いったいなぜか?
三遊間でも二遊間でも、もちろん正面の打球でも、そこにいかにも壁でもあるように、すべて止めてしまい、一塁で刺し、4-6-3の併殺を完成させてしまう。それこそが「ショートストップ」だ。ただの「遊撃手」ではない……本物のショートストップになれると見込んで、さらには、そうなることを願って、当コラムは最後まで、國學院大・小川龍成をショートストップと呼ぶものである。
(ドラフトウラ話【ヤクルト編】 心で叫んだ…ヤクルト3位「なぜ指名して欲しくない選手だったか」へ)