昨年のドラフト直前、堀田賢慎投手（2019年・巨人1位）の全力投球を受ける取材で、青森山田高に伺った。

　並行して行われていた新チームの練習で、川原田純平のフィールディングを初めて見た。ひと目見て、ヒザと足首の使い方に“余裕”を感じた。つまり、下半身のこなしが柔らかい。柔らかくて、頭の位置が低くて、左から右によどみなく動く。

　それでも確か、足を痛めていて、まだケガ明けだった。グラブの位置も低い。打球のコースに入ってからは、膝より低い位置でグラブを使えて、イレギュラーにも難なく反応できる。

　この夏の独自大会。「東北」だけは、各県の優勝校が集まって石巻市（宮城）で「東北大会」を行った。久しぶりに見た川原田純平遊撃手のフィールディングに、去年の秋は見られなかった「スピード」が加わっていた。

　シートノックの動きから見とれていた。ポーンと出て、一瞬打球の様子をうかがうようにして動きのスピードを調節しながら、打球にサッと低く入って、吸収するような捕球からのスナップスローの連動がスピーディーになっていた。

　たぶん、どんなことよりも、遊撃手としてのフィールディングが得意で自信を持ってるんだろうな……見ていて、そんな“安心感”があった。

　こういう遊撃手が、〇に遊の字の…ショートストップなのか。「石巻」から3カ月も経った今になっても、はっきりと思い出せるフィールディングの「記憶映像」――本当の「よい選手」とは、そういうプレーヤーのことなのかもしれない。

【ロッテ編】学生球界の「源田二世」

　今年のドラフト対象の大学・社会人に「上手いなぁ！」と思うショートストップが4人いた。

　千葉ロッテ3位・小川龍成（國學院大）
　広島6位・矢野雅哉（亜細亜大）
　阪神6位・中野拓夢（三菱自動車岡崎）

　この3人に、萠抜（はえぬき）哲哉（JR九州）を加えた4選手が、その「使えるショートストップ」だ。

　残念ながら、萠抜哲哉遊撃手には指名がなかったが、今年はチームとして、コロナ感染を気遣って公式戦への参加を見合わせたり、実力をアピールする機会が減ったのが痛かった。来季、間違いなく“候補”として再浮上してくる「源田壮亮二世」だ。

　そこで、学生球界の「源田二世」なら、千葉ロッテ3位指名・小川龍成を挙げたい。

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