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三好康児、板倉滉、脇坂泰斗、田中碧…アカデミー出身者が語った中村憲剛「知らない世界を教えくれる」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/11/13 11:02
少年時代からトップチームでのプレーを夢見てきたアカデミー出身選手たちにとって、「14番」は大きな存在だった(写真は2019年)
田中碧「憲剛さんとの会話は新鮮」
同じく中盤でプレーする田中碧も、プロ入り直後から中村の指導を受けてきた1人だ。わからないことがあれば質問し、その教えをメモにとる。そのやりとりは日常だった。田中は「わからない時もあるんですけど」と笑みを浮かべながら、こう続けた。
「憲剛さんとの会話は、自分の中で新鮮というか、知らない世界を教えてくれる。1つの話をとっても自分ではわからないというか、初めて知るものも多い。そういった意味では新しい世界というか、それを聞いてプレーしている時に『ああこういうことか』と新しいものが見えてくることがよくある。やっていて『こういうことだったんだ』と気付くことがありますね」
未知の世界を教えられる存在はそう多くない。そして、それを若手たちがしかと受け止め、成長へとつなげようと考えられるのは、中村がクラブで一歩一歩、時間を積み上げてきたからこそである。
「僕は憲剛さんのアドバイスがなかったら、ここまで成長することができなかったと感じるぐらいアドバイスをもらっている。なおかつ一緒にプレーができているのですごくありがたいです」(田中)
「自分の目で見ることができる貴重な時間」
残り2カ月。ヒーローであり、目指すべき存在である中村のプレーを、彼らはこれからどのように目に焼き付けるのか。田中は改めて心境を述べた。
「自分が小さい頃から見てきた選手で、このチームを知ったときから常に目標であって夢だった選手。まだまだ学べることがたくさんあると思う。自分にとってこれまでも一緒のピッチに立つことが素晴らしい経験になってきたし、残り2カ月も一回一回の練習を含めていろいろなものを吸収できる機会だと思う。自分の目で見ることができる貴重な時間。一緒のピッチに長い時間立てるように、そして試合に勝てるようにやっていきたいです」
一寸の光陰軽んずべからず――。
一緒にプレーを共有できる時間はもう多くない。偉大な背番号14の背中を見て、新たな成長への糧とする。残り数試合は後輩たちにとってかけがえのない時間となりそうだ。