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本田圭佑は「FKとPK全部蹴る」宣言しては? 3人も監督解任、財政難&混迷ボタフォゴを救う道
posted2020/11/08 17:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFLO
主審が試合終了の笛を吹いたとき、ボールは顔を上げてパスコースを探していた背番号4の足元にあった。
蹴らせてもらえなかったボールを跨ぐと、足早に立ち去る。両手を夜空に突き上げて歓喜の雄叫びを上げるクイアバ選手、悄然とピッチに座り込むボタフォゴ選手を尻目に――。
11月3日、ボタフォゴはコパ・ド・ブラジルのラウンド16第2レグでクイアバと対戦した。クイアバは2001年創立の新興クラブで、昨年初めて2部に上がった。今季はここまで2位と健闘しており、クラブ史上初の1部昇格を見据えて勢いがある。
監督は、日本と縁がある男だ。2005年から09年まで大分トリニータを率いて躍進させたペリクレス・シャムスカ(現アル・ファイサリー=サウジアラビア)の弟で、大分でコーチとして兄を補佐したマルセロ・シャムスカ。ハイプレスと深い位置でブロックを築く守備を巧みに使い分け、鋭いカウンターを繰り出す戦術を植え付けている。
1週間前の第1レグで顔をしかめた
その1週間前に行なわれたホームでの第1レグで、ボタフォゴは0-1で敗れていた。その失点につながるミスを犯したのが、本田圭佑だった。
いつものように左腕に黒いキャプテンマークを巻き、2列目右サイドで先発した。
しかし後半10分、右のタッチライン沿いでクイアバの選手2人にプレスをかけられ、苦し紛れにピッチ中央へパスを出した。ところが、受け手の動きと逆になり、クイアバのMFマテウス・バルボーザがボールを奪う。ボールを前へ押し出すと、右足で強烈なミドルシュート。これがゴール左下隅を割った。
本田は、顔をしかめて天を仰いだ。