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本田圭佑は「FKとPK全部蹴る」宣言しては? 3人も監督解任、財政難&混迷ボタフォゴを救う道
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFLO
posted2020/11/08 17:00
ボタフォゴで着実に出場機会を得ている本田圭佑。ファン・サポーターの信任は得ているだけに……
すぐ監督の首を挿げ替え、負債184億円
今季、クラブはすでに3人の監督を解任。監督代行(3試合)を経て、11月5日、元アルゼンチン代表FWのラモン・ディアスを招聘した。
現役時代はリーベルプレート、アルゼンチン代表などでストライカーとして活躍した。1993年から95年4月まで横浜マリノスにも在籍し、1993年の初年度のJリーグで28得点をあげて初代得点王に輝いた。1995年に現役を引退するとすぐに指導者となり、リーベルプレート、パラグアイ代表などを率いている。
代行を含めると、彼が今季5人目の監督だ。
監督の首をあまりにも頻繁に挿げ替えるため、戦い方に一貫性がない。監督によって起用する選手も変わるから、すでにシーズン中盤というのに連携がチグハグで、パスの出し手と受け手のタイミングが合わないことが多い。
技術的なミスも多く、攻撃の選手は総じてアイディア不足。端的に言えば、ブラジル1部の舞台に立つ条件を満たしていない選手が少なくない。
その背景にあるのは、クラブの深刻な財政難だ。
10億レアル(約184億円)を超えるという巨額の負債を抱え、昨年以降、選手、コーチングスタッフ、職員への給料遅配が常習化している。他クラブから選手にオファーがあれば、シーズン中であっても売却せざるをえない。他クラブの選手にオファーを出しても、「すでに倒産したも同然のクラブ」と思われて敬遠される……。
役割が微妙に変化する中で慎重すぎないか
入団後、本田の役割も微妙に変化している。
パウロ・アウトゥオリ監督時代はボランチとしてプレーしていたが、ラザローニ監督の元では概ね右MFとしてプレーしていた。以前より相手ゴールに近いエリアでプレーするので攻撃にからむ機会が増え、持ち味が出せるようになってきていた。
とはいえ、総じて慎重なプレーが目立つ。縦方向へのパスが少なく、無難な横パスやバックパスが多い。自らシュートを放つこともアシストをすることも少なく、“アシストのアシスト”をするのが精一杯。よく言えば落ち着いた、悪く言えば老成して覇気が足りないプレーが多いと感じる。
コパ・ド・ブラジルで敗退したことで今季、ボタフォゴに残されたのはブラジルリーグだけとなった。来年2月24日まで、残り20試合。今後は過密日程から解放され、選手への肉体的負担も軽減される。
これから3カ月半、本田はどのようなプレーをするのか。
個人的には、彼本来の強引なまでにアグレッシブなプレーを期待したい。中盤の選手として、またチームリーダーとして守備を気にするのは当然だろうが、とはいえもっと貪欲にゴールを狙ってほしい。