松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラトライアスロン秦由加子は「なぜ、あえて義足をなくしたのか」松岡修造が聞いた
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/06 11:00
松岡修造さんの興味はインタビュー終盤になっても尽きることなく、秦選手の流暢な喋りに感心しながら彼女のラン用の義足を手にしたまま聞き入った
表彰台の上から「ありがとう」と言いたい
松岡 今、ものすごく大事なところに来ました。こういう捉え方をすればいいんだ、前向きになれるんだという気づきの部分です。「大きなメッセージがやってくるぞ」というところですよ。
秦 すごいプレッシャー(笑)
松岡 僕から見ると波乱万丈な人生を送ってきた由加子さんが一番伝えたいこと、こういうものが自分にあれば何が起きても怖くないよと言えるポイントって、どこでしょう?
秦 その人自身が何かをやる気になって、自分自身が変わろうとすることですかね。やっぱり自分自身が変わらなければ何も変わらないから。本気で変わりたいと思ったときには、その思いが周りに広がっていって、助けてくれる人もきっと現れて、そうしたらその人たちの手を借りながら少しずつ思いを形にしていけばいいと思います。手を借りたからには一緒に楽しんで、思いを共有できる時間を作って。
松岡 君は一人なんかじゃない。悩んだときや困ったときは周りに頼っていいんだよ。仲間になってサポートしてくれる人たちにとっても、サポートすることが力になるんだっていうメッセージですね。さぁ、来年の夏にやってくる東京パラリンピック、どのような形で迎えたいですか?
秦 今よりもっともっと進化して、1年の延期があったからここまで来られたんだって思えるようにしたいですね。そして、リオパラリンピックで味わえなかった世界の選手たちと戦う感覚を感じて、表彰台の上から、私をそこまで連れてきてくれた全ての人たちに「ありがとうございました」と言いたいです。
(構成:高樹ミナ)
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秦由加子(はた・ゆかこ)
1981年4月10日、千葉県生まれ。13歳で骨肉腫を発症し、右足の大腿部切断を余儀なくされる。07年に10歳まで習っていた水泳を再開。ロンドンパラリンピックへの出場を目指したが叶わず、13年にパラトライアスロンに転向。わずか4年で16年リオパラリンピックの日本代表に選出され、日本選手最高の6位入賞を果たした。現在は世界ランキング4位につけ、東京パラリンピックでのメダルを狙う。クラスはPTS2。キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・稲毛インター所属。