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『鬼滅の刃』をスポーツ科学的に読む! “全集中の呼吸”の効能、イチロー&五郎丸歩の“アレ”と同じ場面は…
posted2020/12/08 17:02
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
Kyodo News
12月4日、『鬼滅の刃』の最終巻が刊行された。
10月16日より公開中されている映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が国内興行収入歴代2位の大ヒット作になったことも影響してか、4日には全国の書店で最終巻を買い求める大行列が。連載が終了してもなお、「鬼滅ブーム」は収まりそうにない。
少年・竃門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻すために仲間とともに鬼を倒す――。週刊少年ジャンプの王道を行くバトル漫画には、実現不可能な超人技が次々に登場する。しかし、南山大学でスポーツ科学を研究する飯田祥明先生は「スポーツ科学の視点で『鬼滅の刃』を読んでみると、意外にも理にかなった設定や描写が多いんです」と話す。
え!? 本当ですか???
というわけで本稿では、『全集中の呼吸』『透き通る世界』『反復動作』という3つのキーワードをピックアップし、これらとスポーツ科学との関連性を紐解いていこう。
1.『全集中の呼吸』とスポーツ生理学
『鬼滅の刃』に登場するすべての技の根幹となっているのが『全集中の呼吸』。かいつまんで言えば、常人離れした肺活量(幼児ほどの大きさの瓢箪を吹いて破裂させるレベル)でなす呼吸のことだ。
『鬼滅の刃』における鬼は、<身体能力が高く傷などもたちどころに治る 斬り落とされた肉も繋がり手足を新たに生やすことも可能>(コミックス1巻より引用)という、とんでもない存在。
このような相手と戦うため、鬼を倒すことを目的とする特殊部隊「鬼殺隊」のメンバーは、トレーニングにより『全集中の呼吸』を手に入れる。大量の息を肺に送り込むことで血の巡りを速め、筋肉の動きを活性化させ、鬼に匹敵する身体能力を身につけるのだ。
飯田先生は、呼吸と運動能力の相関性は、スポーツ生理学で明らかになっていると話す。