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大黒柱が抜けても…シーホース三河、22歳“新32番”の献身性が「常勝軍団」復活へと導く
posted2020/10/24 11:00
text by
山田智子Tomoko Yamada
photograph by
Keiichiro Natsume
4節を終えて6勝1敗。
過去2シーズン、開幕ダッシュでつまずき、不本意なシーズンを過ごしたシーホース三河が、“常勝軍団”復活に向けて幸先の良いスタートを切った。
このオフには、長く三河を牽引してきた大黒柱・桜木ジェイアールが引退。これまでのハーフコートオフェンス主体のバスケからの転換を余儀なくされた。
コート内外における桜木の穴は決して小さくない。しかし就任26年目を迎える鈴木貴美一ヘッドコーチ(HC)は、これを進化の好機と捉え、「これまでの良い部分は財産として残しながら、これまでとは全く違うバスケットをお見せしたい」と意欲を見せる。
「昨季はリーグで最も失点が多かったのですが、今季はディフェンスを頑張る選手が入ってきたので、ディフェンスでイニシアチブを取れるようなチームを目指したい。オフェンス面では、スペースを広く取って、ボールも人も動くシステムに取り組んでいます。走れる選手も多いので、アップテンポなバスケットも展開したいと考えています」
三河が抱えていた課題を見事に補う
確かに、今季の三河はこれまでとは違うバスケットを見せている。三河黄金期を支えた司令塔・柏木真介の復帰によりクロスゲームを勝ち切る安定感が加わったことも大きいが、チームに最も変化をもたらしたのは、桜木の背番号32番を受けついだシェーファー アヴィ幸樹だ。
「ディフェンス・リバウンドを確実に獲る」「ファストブレイクで先頭を走ることができる」というシェーファーの強みは、昨季までの三河が抱えていた課題を見事に補っている。
「まだ若いですし、たくさん試合に出てトータル的にバスケットを学んで、ジェイアールとはまた違った形でチームに貢献できる選手になってほしい。そのポテンシャルを十分に持っている選手です。あまりプレッシャーを感じないでのびのびとプレーして、うちのチームでも、日本代表でも活躍できる選手に育ってほしい」と鈴木HCの新32番への期待は大きい。