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ブラジル版“消えた天才” ロビーニョ、パト、ガンソ 世界一になれず伸び悩んだ男の今
posted2020/10/21 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Kaoru Watanabe(JMPA)/Naoki Ogura(JMPA)
ブラジルの名門クラブが、そこから巣立って欧州ビッグクラブを渡り歩いたかつてのスター選手を帰還させようとした。ところが周囲の猛反対に遭い、彼がピッチに立つ前に契約解除を余儀なくされた――。
1990年代に三浦知良、前園真聖もプレーしたサントスが10月10日、レアル・マドリー、マンチェスター・シティなどでプレーした元ブラジル代表FWロビーニョの復帰を発表した。
しかし、彼はACミラン在籍中の2013年にミラノ市内で集団での婦女暴行に加わった容疑で2017年、イタリアの裁判所による第一審で9年の実刑判決を受けている(現在、控訴中)。
サポーターや女性権利擁護団体などが「そんなおぞましい選手を入団させるな」と強く抗議し、スポンサーの多くも「契約を取り消さなければ、スポンサー契約を打ち切る」とクラブに圧力をかけた。
当初、サントスの会長は「まだ有罪が確定したわけではない」とロビーニョを擁護していた。
「関係を持ったのは事実だが……」
しかし、あるメディアがイタリアの裁判所が有罪判決の決め手としたという彼と共犯者とされる男の会話記録(ロビーニョが「あの女は泥酔していて、何が起きたかなんて覚えていないよ」などと語った)をすっぱ抜いた10月16日、「本人と合意の上で、契約を“凍結”する」と発表。ロビーニョは「非常に残念だが、クラブに迷惑をかけるのは本意ではない」とコメントした。
その一方で、「この女性と関係を持ったのは事実だが、合意の上だった」とし、「自分の無罪を証明する」と言明している。