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ドラフト1位候補右腕・伊藤大海、波乱万丈の大学野球を終えて「4年前に考えていた姿に近づけた」 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2020/10/17 17:02

ドラフト1位候補右腕・伊藤大海、波乱万丈の大学野球を終えて「4年前に考えていた姿に近づけた」<Number Web> photograph by Yu Takagi

ドラフト1位当確と高い評価を受ける伊藤大海。自身にとっても苫小牧駒澤大にとっても「最後」となる試合を全力で戦い抜いた

192cm河村との投げ合いに注目

 今季は自身にとってもの大学野球のラストシーズン。さらに来春から同大が「北洋大学」に改称することが決まっており、「苫小牧駒澤大学」として戦う最後の1年だった。それだけに全国大会に歴史を刻もうと意気込みは十分だったはずだ。しかし、春に続いて秋の全国大会も中止に。この北海道地区大学王座決定戦がが“ラストマッチ”となった。

 伊藤はこの日、指名打者制がある中で7番・投手として先発。指名打者制のない明治神宮大会とその代表決定戦に備え、打撃練習をしていたことや主将であることを踏まえた大滝敏之監督は打線の中に伊藤を組み込んだ。

 ドラフト候補の1人である身長192cmの大型右腕・河村説人(星槎道都大)との投げ合いということもあり、多くの報道陣とファン、そして数名のNPB球団スカウトが集まった。その中で伊藤はこの日の投球内容を「今日は(100点満点中)5点です」と苦笑いで振り返った。

 相手打線の粘りや際どいコースのボール判定もありなかなかリズムを掴めず。2回には本塁打、3回には連打を浴びて1点ずつを失った。とはいえ、ストレートは何度も150キロを計測し、カットボールやスライダーなどの変化球も「これぞドラフト1位候補」というキレだった。この日はもともと長いイニングを投げる予定ではなく、抑えとしての短いイニングも検討されていたこともあり、5回5安打3四球10奪三振2失点でマウンドを降りた。

フェンス直撃の二塁打でガッツポーズ

 だが、これで伊藤の大学野球は終わらなかった。6回からは左翼手にポジションを移し、出場を続けたのだ。

 6回に同点とした苫小牧駒澤大は8回には押し出しで勝ち越し。そして9回、第3打席のバッターボックスに立った伊藤は、左中間へ本塁打かというフェンス直撃の二塁打を放ち、二塁ベース上で渾身のガッツポーズ。後続が倒れて追加点は奪えなかったが、ベンチを盛り立てた。

 その裏の守りでは、最終回を任された同期投手にアドバイスしてから左翼の守備位置についた。しかし、苫小牧駒澤大は9回裏に2死二塁のピンチを迎える。すると相手が放った大飛球が伊藤のもとへ飛んできた。必死に追いかけ、飛び込んだが、打球には無情にも届かず同点に。大学野球最後の試合を白星で飾ることはできなかった。

 それでも、投げて、打って、走って、飛び込んでと最後の試合で力を出し尽くせたことで、伊藤は野球少年のような充実した表情を見せた。

「今日で(大学野球が)終わってしまうと考えるとグッとくるものがありました。ここでの4年間は今すぐ2、3分で語れるようなものではない充実した4年間でした。4年生一人ひとりの強さが最後に出せました」

【次ページ】 「大海さんに憧れてここに来た」

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