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ビエルサ、グアルディオラにポゼッションで上回りドロー 選手交代とマッチアップの妙を検証
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph byGetty Images
posted2020/10/15 17:02
雨の中での試合となったマンチェスター・シティ戦で指示を出すビエルサ(右)
ドリブルと意外性のあるパスでサイドを崩す
リーズのMFフィリップスは試合後のメディアインタビューでこう答えている。
「リーズのサッカーにおいて多くのプレーでボールが私を通過しますが、シティの選手は私を激しくマークしてきました」
リバプール戦で美しいロングパスを通し、イングランド代表でも主力になりつつあるなど好調を維持しているフィリップスは全てのチームからマークされる存在となっていた。
ポゼッションで盛り返したリーズは後半戦に臨む。
リーズは後半開始から不調の左WGアリオスキに代えてポペダを投入する。ビエルサはポペダを右WGに入れて、前半活躍をしていたシティの左SBメンディとマッチアップさせた。そして右WGに入っていたコスタが左WGに回った。
メンディは身長185cmで筋骨隆々、高い走力とテクニックを兼ね備えている。一方でポペダは身長165cmで細身と体格差は圧倒的だった。コスタでもマッチアップに苦労していたメンディに対してポペダで対応できるのか、と不安を感じさせる体格差である。
しかしポペダは抜群のテクニックと、ビエルサが「見たことのないフィジカルを備える」と絶賛する俊敏性でメンディを翻弄する。巧みに身体を入れてボールを奪い、ドリブルと意外性のあるパスでサイドを崩し始める。
クラブ史上最高額3000万ポンドで獲得したロドリゴを投入
ポゼッション率でもマッチアップでも優位に立てるようになったリーズに得点の予感が漂い始めた。
さらに後半11分、ビエルサはロバーツに代えてロドリゴを投入する。
クラブ史上最高額となる3000万ポンド(約42億円)で獲得したロドリゴは、現役のスペイン代表選手であり、経歴的にもリーズ最高の選手であると言えるだろう。しかし開幕のリバプール戦では途中出場で決勝PKを与えてしまい、第3節のシェフィールド戦では途中出場で投入されながら試合終了前に交代を命じられるなど辛酸を舐めていた。
「シェフィールド戦のロドリゴについて、非情な交代とメディアに書かれました。でも、決してロドリゴが不調だったわけではありません。試合終盤でシステムを3-4-1-2から4-2-1-3に変更するために2トップで起用していたロドリゴを下げ、左SBにアリオスキを投入したのです。あくまで戦術的な交代だったと、私は分析しています」(荒川)
この試合では本来のポジションであるFWではなくMFとして起用されたロドリゴは、とうとうそのポテンシャルを発揮する。