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ビエルサ、グアルディオラにポゼッションで上回りドロー 選手交代とマッチアップの妙を検証
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph byGetty Images
posted2020/10/15 17:02
雨の中での試合となったマンチェスター・シティ戦で指示を出すビエルサ(右)
リーズのカウンターアタックを見事に演出
投入直後の後半12分、左サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入したロドリゴはシティDFディアスをかわし、ニア上を正確に狙ったシュートを放つ。GKエデルソンは俊敏な反応をみせ、指先で辛うじてボールを弾き出す。
自らのプレーで得たCK、こぼれてきた球を蹴り込んだロドリゴは、移籍後、初ゴールを決めた。
その後も、バーぎりぎりを狙ったコントロールされたヘディングシュートを放つなど、ロドリゴはその大きな才能を見せつける活躍を披露する。彼のインテリジェンスを感じさせたのがシティのコーナーキックの場面だった。映像を見るとペナルティエリア内のロドリゴが、首をさかんに振って敵、味方の配置を確認している様子を確認することが出来る。彼は守備だけではなく、カウンターの為の準備もしていたのだ。そしてCKのボールがペナルティエリア内でこぼれるや否や、ロドリゴはボールを素早く拾い前線のポペダにパスを展開する。リーズのカウンターアタックを見事に演出したのだ。
「このように試合のポイントとなったのがポペダとロドリゴの投入だったと思います。ポゼッションを回復し、プレスも効き始めた中で、途中交代の2人の活躍で決定機も増えたことで、ゴールが生まれた」(荒川)
ペップの「インテリジェントな策」とは?
前半活躍したメンディはポペダ投入により交代に追い込まれることとなった。ペップはまず71分にメンディに変えて守備的な選手であるアケを投入。77分にはFWのマフレズに代えて、守備的MFのフェルナンジーニョを投入した。攻めのカードを切ったビエルサに対して、守備のカードでペップは劣勢を押し返そうとしたのだ。
ビエルサは試合後の記者会見でこう語った。
「フットボールにはいろんな分析の方法がありますが、私は2つの大きな要素があると考えています。『ボールを奪われないこと』と、『ボールを奪うこと』です。
立ち上がりのリーズは全くボールが奪えないばかりか、簡単にボールを失い過ぎていました。その後、アグレッシブにボールを奪うことが出来るようになってから、少しずつ上手くいくようになりました。しっかりとした守備が出来て、初めて攻撃も上手く行くようになるものなのです。
(終盤に)ペップは守備的な選手交代(フェルナンジーニョ)をしました。これはインテリジェントな策だったと感じます。フェルナンジーニョの投入によって、シティはゲームを支配し直しました」
リーズもシティも最後まで攻める姿勢を貫いたことが、ゲームを魅力的なものにした。
再び雨中の名勝負となった試合は1-1の引き分けで終わる。