酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
挫折からドラフト指名なるか 2019年高校BIG4の次、171cmトルネード、上甲監督最後の教え子…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/12 11:00
関西独立リーグ兵庫に所属する落合秀市。その剛球をNPBの舞台で見られるだろうか
171cmのトルネード投法・山科颯太郎
落合と同学年の山科颯太郎は「優等生」という印象だ。171cmと小柄ながら勢いのある速球を投げる投手として、長崎県の九州文化学園高校時代から注目されてきた。
昨年の長崎県春季大会で決勝戦まで進んだが、夏はベスト8で長崎日大に敗退した。プロ志望届を出して、オリックスのプロテストを受け、最後まで残ったが指名から漏れた。そこからプロ野球に行きたいと強く思うようになった。
「何としてもプロに行きたいと思ったので、独立リーグに進むことにしました。大学なら4年間、社会人でも2年間プレーしなければなりませんが、独立リーグなら活躍すれば1年で指名されることも可能です。独立リーグが一番早いと思いました」
彼も落合と同じことを言った。
変化球に磨きをかけつつ、150km以上を
山科は大きく体を傾がせるダイナミックな「トルネード投法」で投げる。
「身体が小さいので、少しでも球速を上げるために、フォームを工夫しました。ストレートは148km/hくらいです。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ。得意な球種は縦に落ちるスライダーです。
ただ、高校時代はスライダーで空振りが奪えたのですが、独立リーグでは変化球でストライクがなかなか取れなくて。今は変化球の精度を上げることが目標です。スカウトの方が見ている前で結果を出したいですね。そしてNPBに行きたい。そのためには変化球の精度を上げるとともに、ストレートも150km/h以上を出すのが目標です」
橋本監督は、山科は「来年に期待」という評価をしている。
「投げっぷりがいいですね。特にスライダーがいい。しっかり腕が振れています。ただ、まだ体幹が弱いです。股関節の使い方もまだまだです。勉強すべきことがたくさんあると思います。でも、その分、伸びしろはありますね」