酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
挫折からドラフト指名なるか 2019年高校BIG4の次、171cmトルネード、上甲監督最後の教え子…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2020/10/12 11:00
関西独立リーグ兵庫に所属する落合秀市。その剛球をNPBの舞台で見られるだろうか
投手としての経験はまだ2年強だが
筆者が見た9月11日の登板では、救援でマウンドに立ち2死までは簡単にアウトにしたが、失策をきっかけに崩れ、大量失点した。ゆったりしたフォームから重たそうな速球を投げたが、体の動きは堅そうに見えた。
「点を取られるのは、自分の調子が悪いからだと思います。前の日のブルペンではかなり良かったのですが。なぜ点を取られるのかは、僕自身が知りたいと感じています。監督やコーチから、フォームなどの指摘はありません。精神的なものもあるかなと思います」
落合は中学時代はヤングリーグ(少年硬式野球)でプレーした。しかし投手として本格的に投げ始めたのは高校2年になってからだ。投手としての経験は、2年と少しだ。
外見は茫洋としてふてぶてしいようにも見える。そのため、大人たちに誤解も与えやすいキャラクターなのだろう。
“球そのものは良いが”、課題は?
橋本監督は、落合をこう評する。
「高校時代から注目された投手ですが、そのころからずっと言われているのが“球そのものは良いが”という点です。良い球を投げるのに、投手として普通にできなければいけないことができないから、ドラフトの指名漏れにつながったのではないかと思います。
具体的に言えば投手としてのキャリアが浅いので、ベースカバーなど基本的な練習ができていない。ベースカバーでは僕らはとっさに体が一塁方向に動くのですが、そういう反射的な動きができていないですね。
それから、性格的にムラがあります。いい時は良いのですが、ダメな時にいかに自分をコントロールできるかが、彼の課題でしょう。投げることに関してはいいと思いますが、トータルな“投手”“野球選手”としての技術を身につけることができるかどうかが、大事だと思います」
9月18日に行われた千葉ロッテマリーンズとの交流戦でも落合は打ち込まれたが、それでもスカウトは「素材としては良い」と注目した。今季、ドラフトで指名されるかどうかはわからないが、大化けすれば、彼の雄姿をNPBのマウンドで見る日が来るかもしれない。