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ネイマール侮辱疑惑も…酒井宏樹のクールな対応に、ブラジル人記者が驚嘆した理由
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/10/05 17:02
何度かマッチアップしているネイマールと酒井宏樹。素晴らしい駆け引きのレベルだけに、ネイマールの言動は残念だ
スペインのラジオ局が酒井への侮辱を報道
そして9月29日、スペインのラジオ局が「ネイマールがマルセイユの日本代表右サイドバック酒井宏樹を『クソったれの中国人』とポルトガル語で罵った」とするシーンの映像を入手して公表。「人種差別を受けた、と告発した当のネイマールが、実は別の選手に純然たる人種差別行為を行なっていた」と痛烈に批判した。
このような状況で、フランスをはじめとする各国メディアは、「ネイマールにはゴンサレスと酒井への発言で最多10試合ずつの計20試合の出場停止、ゴンサレスにはネイマールへの発言で最多10試合の出場停止が言い渡される可能性がある」と伝えた。
ところが9月30日、フランスリーグの規律委員会は以下のような声明(骨子)を発表した。
「調査の結果、アルバロ・ゴンサレスからネイマールに対し、またネイマールからアルバロ・ゴンサレスに対して差別的言動を行なったと考慮するのに十分な証拠は確認できなかった。従って、いずれの選手にも処罰を与えない」
この結論は、各国メディアの予想を覆すものだった。
とはいえ15日のフランスリーグ会長のコメントを思い起こすと、リーグとしての態度がこのようなものとなるのは予め決まっていたのかもしれない。
各種映像を繰り返し確認すると……
また、酒井に対するネイマールの言動について、声明では一切触れられていない。それは、酒井がネイマールを告発しなかったからかもしれないし、この問題に早く終止符を打つためにあえて黙殺したのかもしれない。
筆者はブラジル、スペイン、フランスのメディアが発表した各種映像を繰り返し確認してみた。ゴンサレスが「モノ」、ネイマールが「マリコン」と言ったかどうかについては口の動きがやや不明瞭で、100%の確信こそ得られなかったが「クロに近いグレー」という印象を持った。
一方、ネイマールが酒井に対して放った言葉については――動画に何かの細工を施されていない、という前提ではあるが――「Chinês de merda」(クソったれの中国人)というフレーズを明確に、しかも3回も口にしている。
ここで、ひとつの疑問が生じる。