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ネイマール侮辱疑惑も…酒井宏樹のクールな対応に、ブラジル人記者が驚嘆した理由
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/10/05 17:02
何度かマッチアップしているネイマールと酒井宏樹。素晴らしい駆け引きのレベルだけに、ネイマールの言動は残念だ
「FIFA会長らはサカイに感謝すべき」
「我々南米人やヨーロッパ人の多くは、侮辱された可能性があると感じたら徹底的にやり返す。ネイマールとゴンサレスもそうだった。でも、サムライはそうじゃないんだね。無礼者を糾弾しなかったばかりか、処罰が下らなかったことを歓迎するなんて……。
ネイマールもゴンサレスも、『制裁を逃れてラッキー』と思っているだろうが、サカイの言葉をよく噛みしめ、多くの教訓を得なければならない。
また、FIFA会長をはじめとする世界のフットボール関係者は、サカイに、彼を育てたご両親や周囲の人たちに、そして日本のフットボール関係者に深く敬意を表し、なおかつ感謝しなければならない。
なぜなら、今回のなにからなにまで醜い出来事を彼がその高貴な振る舞いによって可能な限り取り繕い、なおかつフットボーラーとしてあるべき姿の模範を示してくれたのだから」
同じ日本人として、少々面はゆい賛辞だった。
それは、我々日本人とて必ずしもすべての者が常に酒井宏樹のような言動を取れるわけではないと感じているからでもある。
人種差別行為をなくすためには……
人種差別行為は、厳しく罰せられるべきだ。
残念ながら、フットボールの試合中、ピッチの内外で、あらゆる種類の「不適切な言動」が発生している。審判がこれらのすべてを厳密に取り締まり、処罰していたら、現時点ではフットボールの試合は成立しない。
様々な考え方があるだろうが、フランスリーグが「ネイマールとゴンサレスが不適切な言動をしていた可能性」に目を瞑って制裁を見送ったのは、現状ではやむをえないのかもしれない。
その一方でFIFA、各国サッカー協会、リーグ、クラブ、学校などがすべてのフットボール関係者は人種差別を含むあらゆる種類の不適切な言動を戒め、それが起こらないよう厳しく教育、指導、監督すべきではないかと考えている。
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