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来季ドラフトの目玉・市立和歌山の小園健太がもう気になる スカウト談「奥川君にかぶる」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/10/02 17:50
早くもスカウトから注目を集める高校2年生の小園健太。捕手・松川と書き合ったという帽子のメッセージを見せてくれた
強豪校からの誘いを断った理由
小学1年生で野球を始めた小園は、中学時代、硬式野球の貝塚ヤングに所属し、ヤングリーグの全国大会で優勝した。高校進学にあたっては15〜20校もの強豪校から誘われたという。
悩んだ末に市立和歌山を選んだのは、既に市立和歌山に決めていた捕手の松川虎生(こう)に、「一緒に日本一獲りに行こうや」と誘われたからだった。
中学1年からバッテリーを組み、貝塚ヤングでともに全国制覇を果たした松川とは、あうんの呼吸だ。
「バッテリーを組んでもう5年目なので、僕が考えていることを全部わかっている。この場面では絶対これを投げたいという球も、わかってくれているんで、僕の中ではでかい存在。相棒です」と小園は笑う。
小園の帽子のツバの裏には、「最高のバッテリー 勝利」と書かれている。それは松川が書いたものだ。そして松川の帽子にも、小園が同じ言葉を書いた。
打倒・智弁和歌山を誓うバッテリー
新チームで主将・4番を務める松川は「夏の智弁和歌山戦に負けて、悔しかったんで……。僕らの代でしっかり、バッテリーとして日本一っていうところを目指そうと話し合って、書きました」と明かす。
打倒・智弁和歌山と日本一を誓って互いに決意を書き込み、新チームはスタートした。
小園は、「夏の智弁和歌山戦は結構まっすぐを打たれたので、下半身を安定させるためにバランス系のトレーニングを取り入れて、まっすぐのキレや回転数の多さというのを意識して練習してきました」と言う。
和歌山では現在、春・夏・秋の大会で、智弁和歌山が10季連続で優勝している。市立和歌山も、昨年春の選抜に出場しベスト8入りするなど実力がありながら、智弁和歌山の壁を崩せずにいた。